背比べ競争
小学と中学の時にどっちが先に180cmまで成長するか競っていた友達Sがいました。
というのも、小学の頃はほぼ同じスピードで成長しお互い無意識にライバル視をするようになりました。そのため身体測定の時は相手に差をつけられてないか毎回ドキドキしていました笑
俺とSは小学校を卒業頃には170cmにまで成長し、12歳の平均身長154cmからするとかなり高身長の部類でした。実際小中でよくあった背の順に列をつくる際には最後尾となり、後ろから低身長の同級生を見下ろすのはよくあることでした。その為あだ名として大男や巨漢などと同級生から呼ばれるようになり、少し恥ずかしい気持ちもありましたが、優越感をお互い感じていたと思います。
中学に入学して間もない頃、Sからある誘いを持ちかけられました。
170cmというひとつの大台に乗り、中学でどれくらい自分が成長するのか期待していた中、そのライバルから「どっちが先に180cmいくか競争しない?」という誘いを受けました。特に何かを賭けることはしませんでしたが、これまで長年競っていた仲だしなにより男としてのプライドが働いてその誘いに乗りました。
〈1度目の測定〉
入学して約半年が経ち、Sとの誘いを受けて1度目の身体測定の日が来ました。
結果は、俺173cm S172cm
小数含めて1cmの差もなく、引き分けということになりました。これまでと同じ結果でしたが、成長期が終わる気配もなく特に悔しいといった感情は無かったと思います。
また中学ではプロレスの技をかける遊びが流行りました笑 当然他の同級生と比べて体がデカい俺らは技をかけられることはほとんどなく、技をかける側として楽しんでいました。
特に学校に器械体操の授業を行う場所として小体育館という場所があり、プロレスをするにはうってつけでした。マットが引かれているからある程度倒れても痛くないということもあり、体力が有り余っていた俺とSは休憩時間になると他の同級生と一緒に小体育館で遊ぶことが多かったです。
他の同級生は平均身長の160cm前後しかなく、もちろん対等な試合になる訳もありませんでした。(チビの同級生を投げ飛ばしたり、寝技で潰したり、倒れている敗者の顔にデカ足を乗っけたりとやりたい放題です笑)
ただし同じ体格のSを相手にすると、力が拮抗してしまい勝ち越すことは多くはありませんでした。今振り返ると、このプロレス遊びを始めたことで一層Sに対するライバル心が大きくなったと思います。
〈成長期〉
中学2年の9月。再び身体測定の日が来ました。
結果は、俺178cm S173cm(約5cm差)
Sの成長が遅くなっていました笑
普段から接する相手の変化は気づきにくいことが多いですが、今回は測定前から俺はなんとなく気づいていました。これまで毎年順調に成長していた俺らでしたが、そのライバルと目線の高さが合わなくなってきていることは互いにとって大きな変化だったからです。それにSがこのままだと負けるということに気づいて焦っていることも知っていましたが、身体測定でしっかり現実を教えてあげてやる為にわざと黙っていました笑
友達と背比べ競争をしている途中、1年間で1cmしか伸びなかったという現実はSにとって屈辱だったと思います。そして、結果的にSは早熟で周りより身長が早く伸びただけということになりました。さらに残酷なことに他の同級生にも成長期が来たようで、Sにもう少しで届くぐらいにまで成長していました。
もちろんプロレス遊びのパワーバランスは崩れ始め、他の同級生に負けることがなかったSがだんだんとギブアップすることが増えてきました。
〈決着〉
中学3年の9月。遂に背比べ競争に決着がつきました。
結果は、俺181cm S173cm(約8cm差)
これまで長年同じ身長として接していたSが実際に身体測定で数字で差を見ると想像以上に驚きました。なんとなく逆にSが縮んだように見え、上から見下ろすたびに優越感に浸るようになりました笑
早熟として成長期が終わったSは1年間で少しも伸びず、俺含めて周りの同級生がどんどんデカくなっていくのをどう感じていたんでしょうか…笑
せっかくなのでその日の休憩時間に久しぶりにプロレス遊びをすることにしました。
というのも部活で体が疲れることが増えたり、少しプロレスに飽きていたということもあり、次第にやらなくなっていました。
1年生の頃は同じ体格で負けることもあり、緊張する相手でしたが、改めて正面に立って向かい合うと緊張は一切なく、Sを見るといかにも弱そうという雰囲気です。
いざ始まるとSの力は想像以上に弱く、「本気出してこれ?w」と煽る余裕もありました。俺は部活で鍛えて横にもデカくなっていた自分にSがどこまで抵抗できるか知りたくなり、試しにスリーパーホールドを仕掛けてみました。苦しみ始めたSはそこから抜け出そうと両手で必死に外そうとしますが、俺の右腕を掴むだけで何もできていませんでした笑 そのまま終わっては味気ないと思い、疲弊したSをそのまま持ち上げてアルゼンチンバックブリーカーを始めました。
Sは「やめろぉ」「おろしてぇ」と苦しんでいる声を出すと、俺も楽しくなりさらに背骨を痛めつけるように腕を引き締め、持ち上げた状態で上下に揺れてみました。すぐに揺らすのと同じテンポで「うがぁっ」と悲鳴のような声を上げていましたが、次第にSの腕がダランと垂れたのでマットの上に落としました。
辛うじて意識はありますが早々にボロボロになって物足りないと思いながらもSを仰向けにし、胸の上に足を落として3カウントを始めます。返す力は残っていないようでした笑
中学を卒業してからは違う高校に進学しましたが、たまに会ってチビいじりをするほどの関係は続いています。