【電験・技術士】塩害とその対策について
塩害について
屋外に設置されるがいしや変圧器のブッシング等の表面に、風により塩分が付着する。この塩分が水分を含むことで、がいし表面漏れ抵抗が低下し、部放電が発生する。この部分放電が進展してフラッシオーバに至る。
対策
①洗浄装置の設置
定期的もしくは汚損度を観測しながら、がいしを洗い流すことでがいしに付着した塩分を取り除く。電線路を停止させないで洗浄する方法を活線洗浄といい、洗浄ノズルの形状により、ジェット洗浄、固定スプレー洗浄などがある。ジェット洗浄は、ノズルを人力で操作し洗浄する方法で、設備費は安いのがメリットであるが、洗浄者の技量が必要であること、台風中の洗浄が困難であるというデメリットがある。
固定スプレー洗浄は、発変電所のがいしの周りに配管し、その先にノズルを取り付けて、バルブを自動的に開閉してがいしを洗浄する方法である。設備費がかかるものの、ジェットに比較し小水量で平等に注水でき性能が安定している。
②がいしの絶縁強化
がいしの絶縁を強化し、汚損状態でのフラッシオーバを防止する。
がいしの形状が変わらなければ、汚損時のフラッシオーバ電圧はがいしの表面漏れ距離にほぼ比例して上昇する。したがって、がいしの連結個数を増やしたり、表面漏れ距離を長くした耐塩がいしを使用することでフラッシオーバを防止する。
③撥水性物質の塗布
撥水性の高いシリコンパウンドをがいしの表面に塗布することで、塩分等の付着を防止する。
シリコンパウンドを塗布したがいしに汚損物が付着すると、シリコンオイルがしみ出して汚損物を包み、がいし表面は撥水性が保たれるので高い表面抵抗が保たれる。この効果によりフラッシオーバ電圧の低下を防ぐ。シリコンパウンドは劣化するため、定期的な再塗布が必要となる。
④設備の密閉化
そもそもがいしに塩分が付着しないように密閉化する。がいし類が塩分を含んだ風を受けないように屋内変電所にしたり、ガス絶縁開閉装置(GIS)を採用する方法があるが、送電線等もありすべての設備を密閉化することは困難である。