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被写体探訪 フィギュア編

写真は「砂と王子」

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2024/10/17 初稿
2024/10/21 追記修正予定
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「フィギュア」とは本来は図表や挿絵、製図作成を意味し、転じて図面から型取られた人に似せた物や、架空のものどもをフィギュアと呼ぶようになった。英語圏では「アクションフィギュア」や「モデルフィギュア」と、名称を使い別けられている。尚、フィギュアスケートとは氷上を筆捌きならぬスケート靴にて図形を描くことを意味し、その動きと美しさを競う競技である。
 辞書を目にし、私が思うことは「写真をどうするか……」だった。鳥山明の訃報を知り、3月の出来事は身勝手な氏への縁を想い、遺作となる新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』の初回放送に合わせ何かを書き表したいと考えていた。見て育ってきた鳥山作品を通じ、氏への別れの挨拶を示したい。ことを初春から秋まで温め続けてきたのだが、初回放送日が迫る中「写真をどうするか……」と、悩んでいた。
 執筆していても、写真を撮っていても、頭の中には『ドラゴンボール』に関わる被写体を想像し、訪れる先々ではついでにと鳥山明作品に関わる物を探す。ゲームセンターに足を運べば、巨大なフィギュアを掴むクレーンゲーム前に立ち「いや、これは……俺には……」取れる気配を感じ得ず、本屋に足を運べば氏の画集を探すのだが、無い。被写体探訪は日々て目的と化し、雑貨屋や古本屋に足を運び始めるが、無い。無いのだ。
 いや、もとい。氏の漫画作品はどこに行っても潤沢にある。しかし、単行本オリジナルをただ写すだけでは氏に対し到底応ているとは思えず、こうした思い巡らせ続けて来た甲斐もあり、私の中での『ドラゴンボール』という被写体は安易な思いつきを許さず、かといって二週に渡って意味を説明し漸く伝わるような難解極まる物なども認め難い。
「写真をどうするか?」という命題は、作品原点の願いが叶う七つの宝玉探しに近似し、私にとっての被写体はドラゴンボールと化していた。内在し内発するドラゴンレーダーは様々な場面場面で反応を示し、可能性を求め分け入っていくのだが「これだ!」という出会とは疎遠の日々が続く。
 そうしたなかのある日のこと。ホビーショップに立ち寄ると、それまでとは異なる出合いに恵まれた。
『SAND LAND』という作品のスピードくじだ。本作と私の初出は2024年の鳥山明訃報の後に至る。たまたま図書館に向かう車の中、たまたま点けたラジオがたまたまアニメ専門番組で、巨匠亡き後、鳥山作品が特集されるのは自明であるが、番組は鳥山作品群の中からSAND LANDを特集し、尚且つこれは過去に放送された再放送というもので、更にいえば通常放送されない時間帯だった。
 ラジオ番組に傾聴し、紹介の妙というか、暫く疎遠となっていた鳥山作品を目にしてみたい思いに駆られた。何せ主人公の名は世界三代宗教ことメジャーリーグから「蝿の王」と異名を付け忌避された『ベルゼブブ』である。
☆ラジオ『アニメ・ステラー』 SAND LAND特集2023年8月22日初回放送

 それから数ヶ月経後、秋を迎えたモールのホビーショップ。SAND LANDスピードくじ前に立ち尽くす俺は、A賞のベルゼブブ人形の箱をまじまじと眺めていた。
「被写体として面白い」と、直感に刺さる。しかし、同時に危ぶみの制動も掛かる。
 スピードくじ。であるが、これが宝くじ同様に当たる気がしない。だって、現在以下程の分母かと皆目検討つかず、A賞のフィギュアは然り、物量による最後のくじを引く者だけが手に出来るラストワン賞なんて、夢のまた夢なんだもん。
 くじは厚紙に着色デザインしたような物で、店頭に並ぶその数は割と知れたものにも見えるが、それでも当たる気がしない。得てしてこういう物は懐に余裕がある者が引っ張るもので、資本力があれば所謂『大人買い』の技コマンドを入力後に薙ぎ払って入手という按配だが、プライベートチームである独立独歩の弊社『家獣組』には叶わぬ社風。
 そういうことで、今現在私に残されたものは自分の頭で何が出来るかを考え、実現可能な領域内で私の中の『ドラゴンボール』という被写体を得ること。そして撮影。ということで涙別れに店を後に、ショッピングモール内をほっつき、まだ見ぬ被写体を歩き考えていた。今にして思えばこのベルゼブブとの出会いが、過去を追憶させ、帰結に向かう引き金と成っていたのだが。

 日付は変われば店も変わり、モールを闊歩渉猟中のこと。ルーティンと化したゲーセンを検見した後、本屋に向かって歩く中、「ああ!」っと突然来る。「これだ!」というものがズギャンと立像し、「いや、これは良い! 良いね! 面白い! 確かに類似している。色も。過程も……。ピュアなハート色だ!」 といった強めの独り言を黙読。求ム被写体のドラゴンボールがグッと具体性を増す。

「そ……それは!」

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