実録 博徒にこ レース結果烈伝
写真は「現在製作中につきお待ちください」
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2024/11/07 初稿
2024/11/XX 追記修正予定
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べた凪の水面。軋み音。船体に打ち寄せる波音。エンジンを回すとチリチリバンバンとした寝言を呟き、定常回転音に変わる。ピット出走時にスロットルレバーは少し解放され、水上にてスタートを待つ。レースが始まれば終わりまで加速し続く。舟底は水面を打ち楕円状に3周。飛沫を浴び、舟体は接触。水冷2サイクルエンジンはやや低い排気音を後方で吐き続く。
左から右。左から右。奥に向かえば右から左。右から左に排気音はドップラー効果で音色を変える。「逃げ」「差し」「ツケマイ」「絞りまくり」「まくり差し」「抜き」「恵まれ」 引かぬ媚びぬ顧みぬ語群から、文言セレクトした熱狂が続く。
競い合うという行為には勝者と敗者が存在する。就中「圧勝」というものは賞賛され褒め称えられるものだ。だが、研鑽を積んだプロ同士の試合と、力量の差著しい「圧勝」では違ってくる。圧倒的な力量さで行われる試合の、例えば100対1のような「圧勝」は違う。そのような試合は観てられるものではない。残酷で、試合終わりまで続けられるのは人間味を欠く内容であろう。
では「圧勝」と対をなす「接戦」というものを考えてみたい。力量は拮抗。僅かな差を勝ち得るために双方持てる技を繰り広げ、刻々と変化する状況に対応しつつ、相手を上回ろうと互いに仕掛け合う、この接戦というものは圧倒に対して劣るものだろうか?
いいや、違う。「良い試合」として讃えられる条件の一つである。英語でいう"Good Game"だ。僅差で勝つというのはスリリングであり、見る者を魅了する。もう一つ。敗者には次の可能性があるということだ。
結果を振り返り、敗因を探す。至らなかったこと。その場その瞬間ではどうしようも出来なかったこと。準備不足。理由は様々に発見されるだろう。しかし、分析し対応した結果それが要因で負けることもあれば、敗因を抱えたまま勝つこともあるのだ。
「運」というものは実力の範囲外と蔑ろにされがちであるが、私は思うに運は訪れるものである。何かをやってきたご褒美に。と書くと収まりいいが、これは些か人間都合の枠内からの希望的観測による「運」の分析。理由を見つけたくなる人間のサーガーであろう。
刻々と状況は変化し、競う以上此方の思惑通りに相手は動かないものだ。何故なら相手は他者である。
"荒天の海を乗り切って入港した後、安堵感とおごりから、陸上における行動が粗暴になったり、他人に対する思いやりがなくなったりする傾向があるが、陸上においては他人を尊敬し、お世話になる港湾関係者及び港町に住む人たちに感謝の念を持って行動しなければならない"
☆シーマンシップの一節から引用
☆参考資料
・シーマンシップ : シーマンシップとは (web)
https://seamanship-club.com/