輸入消費税まとめ

■概要

・海外から輸入した外国貨物(いわゆる輸入品)には、(輸入)消費税がかかる。国内における消費税とは区別されて経理される場合が多い。
⇒外国貨物:保税地域から引き取られる貨物。
⇒保税地域:関税を一時留保できる場所。日本では、5種類の保税地域が定められている(指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域)。
※国内における消費税率は、2019年10月以降、原則10%(消費税7.8%、地方消費税2.2%)。
※輸入で課される税:関税、輸入消費税、酒税、たばこ税等
・輸入の目的により、課税価格が変わる。個人の使用のためか?(≒個人輸入)、他人に使用させるためか?(≒輸入業者)
⇒詳細は「免税制度・非課税制度」参照。

■納税義務者

・輸入消費税の納税義務者は、その貨物を保税地域から引き取る者(=輸入申告者)。
⇒通関業者ではなく、「通関業務を委託した者」。荷受人。
⇒通関業者が立替払いするケースが多い。
・国内取引との相違:輸入消費税の場合は、事業者に限らず、個人が取引を実施した場合にも納税義務が課される。
⇒海外旅行からの帰国の際におみやげなどとして持ち帰ったものも課税の対象になる。一定金額の免税点あり。
⇒(課題)事業者でない個人の輸入消費税の納税方法は?

■計算方法、税率

・輸入消費税額=(CIF価格+関税額+酒税・たばこ税等の個別消費税額)×消費税率7.8%
・地方消費税額=輸入消費税額×22÷78
⇒税率は、国内の消費税と同じ。
⇒CIF価格:Cost, Insurance & Freight(価格+保険+運賃)

■免税制度、非課税制度

・免税制度:課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税される。
⇒課税価格:関税の課税標準となる価格。
⇒課税価格の計算方法:原則的方法は「輸入貨物の取引価格による方法」
⇒「輸入貨物の取引価格による方法」:商品の価格+加算要素(運賃、保険料等)=CIF価格
⇒個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となる。従って、小売価格が1万6666円(=1万円÷0.6)以下の個人的使用の目的の輸入は免税となる。
・「関税を免税しない物品」として定められている物品の主なもの
⇒革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等
・非課税制度:国内取引の非課税取引と同じ
⇒国内取引の非課税取引との整合性を図るため。

■仕入税額控除

・輸入申告を行った者が仕入税額控除を受けることができる。
⇒輸入手続を委託業者に委託している場合は、委託業者が「輸入申告を行った者」に該当する。つまり、委託元の事業者は仕入税額控除不可。
⇒輸入手続を単に代行させている場合は、委託元の事業者が仕入税額控除を受けることができる。代行業者は控除不可。
※実務上は、輸入手続を委託するケースが一般的だが、輸入許可証などの名義が通関業者となっている場合、仕入税額控除が認められないケースがある。
・課された輸入消費税額が、消費税申告書上の「課税貨物に係る消費税額」として仕入税額控除の対象となる。
・帳簿及び請求書等の保存が要件
⇒「輸入許可通知書」でOK

■会計処理

・会計ソフトで消費税の自動計算はさせない。
⇒理由①:課税標準が仕入額ではないため(CIF価格+関税等)
⇒理由②:消費税申告書上、国内課税仕入と明確に区別する必要があるため。
⇒「仕入/買掛金」の仕訳と「仮払消費税/買掛金」の仕訳を別で記帳。
⇒仮払消費税額は輸入許可通知書に記載されている。



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