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2024年12月の記事一覧

信じるということの本質

信じるということの本質

疑いを乗り越えるということ信じることは、疑いを持たないことではありません。むしろ、疑いを乗り越えるプロセスそのものが「信じる」という行為を本物にするのではないかと僕は思います。

たとえば、人を信じるとき、その人のすべてを知ってから信じるわけではありません。「疑う余地がないから信じる」というのは、ただその事実を「知っている」に過ぎないのではないでしょうか。それでは、僕たちが持つ「信じる」という行為

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なぜ教養が必要なのか?——未来を「再構築」する力としての教養

なぜ教養が必要なのか?——未来を「再構築」する力としての教養

教養とは何か。文学、哲学、音楽、芸術、歴史、科学——それらが何の役に立つのかと問われることがあります。これらは「実用的なスキル」とは異なり、明確な答えや即効性を提供してくれるわけではありません。では、なぜ人は教養を持つ必要があるのでしょうか。

教養の本質を一言で表すなら、それは「再構築の力」だと考えます。教養は、既存の価値観や知識を一度バラバラにし、新しい形で再構成するための「精神のインフラ」と

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「役に立たなそう哲学」は何を養うのか

「役に立たなそう哲学」は何を養うのか


哲学の「役に立たなさ」が持つ力哲学は、ビジネス書のように「成功するための法則」を教えてくれるものではありません。
自己啓発書のように「明日から試せるノウハウ」が詰まっているわけでもありません。
むしろ、哲学は「すぐには役に立たない」ものです。

けれども、どうしようもない壁にぶつかり、解決策が見えなくなったとき、その「役に立たなさ」こそが力を発揮します。哲学が提供するのは、答えではなく「問い続け

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選択とは「何を得るか」ではなく【何を捨てるか】

選択とは「何を得るか」ではなく【何を捨てるか】

人生は“捨て”の連続時に私たちは「何を得るか」を基準として選択をすることが多い。これは当然のことだ。何を得られるかを考えるのは、未来への希望や期待が基盤となっているからだ。しかし、選択という行為が「捨てること」を同時に意味していることに、私たちはどれほど自覚的だろうか。

選択には必ず「捨て」が伴う。たとえば、大学の進学先を選ぶとき、A大学に行くことを決めるというのは、同時にB大学やC大学を捨てる

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絶望する才能

絶望する才能


1. 敗北はただの現象競争の世界や人生において、敗北や失敗は避けられないものです。それ自体はただの「現象」に過ぎます。重要なのは、その現象をどのように解釈し、次の行動に繋げるかという視点です。

結果に囚われすぎない
敗北を「終わり」ではなく、「新しい始まり」として捉えられるかどうかが、その後の成長を左右します。

失敗を無駄にしない
敗北や失敗の中に隠された学びを見つけられるかどうかが、前進の

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危機管理のパラドックスと評価のジレンマ

危機管理のパラドックスと評価のジレンマ




危機管理のパラドックスとは

危機管理は、災害対策、情報セキュリティ、企業のリスクマネジメントなど、さまざまな分野で重要な役割を果たします。その主な目的は、危機を未然に防ぎ、発生時には影響を最小化し、復旧を迅速に進めることです。しかし、ここに「パラドックス」が存在します。

成功した場合:「何も起きなかった」と見なされるため、努力が評価されない。

失敗した場合:危機が発生すれば批判や責任

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