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2024年11月の記事一覧

なぜ哲学と自己啓発は別々に語られるのか〜哲学的自己啓発のすゝめ〜

なぜ哲学と自己啓発は別々に語られるのか〜哲学的自己啓発のすゝめ〜

※この文章は約2100文字で、6〜7分程度で読めます。

哲学vs.自己啓発

なぜ「哲学」と「自己啓発」は、これほどまでに別々のものとして扱われるのでしょうか?そこには、互いに対するある種の「軽視」の構造が存在するように思われます。

自己啓発の世界では、しばしば「具体的で即効性のあるスキル」が重視されます。目標設定、時間管理、コミュニケーションスキルなど、すぐに実践できて効果が目に見えるものが

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「エンテレケイア」可能性を現実に変える力

「エンテレケイア」可能性を現実に変える力

エンテレケイアとは?目的と成長の原理

エンテレケイアは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが考えた「内なる力」です。私たちは誰しも、何かしらの「可能性」を秘めていますよね。でも、それが実際に形になるのはどうしてでしょう?例えば、花の種が花に、子供が大人に成長するように、どんな存在も「完成形」へと進むための力を持っている。これがエンテレケイアの根本的な意味なんです。

エンテレケイアの成り立ち

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AIで哲学するのが簡単かつ効果的な理由

AIで哲学するのが簡単かつ効果的な理由

哲学の本質は「答え」ではなく「問い」にある哲学の営みの中心は、何かを「答えること」ではなく「問い続けること」にあります。私たちは「正解」を見つけることよりも、むしろ「なぜ」「どうして」を突き詰め、絶え間なく疑問を投げかけることで思考を深めるのです。この観点で見ると、AIとの対話には意外にも哲学的な可能性が秘められています。

問う形に特化したチャット型AIとの相性の良さチャット型AIを使う際、私た

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なぜ哲学用語は堅苦しいものが採用されるのか

なぜ哲学用語は堅苦しいものが採用されるのか

※この文章は約1100文字なので、約3分で読めます。

哲学用語の「堅さ」と情報圧縮の意義

哲学用語はしばしば「難解」や「堅苦しい」と感じられますが、これは単に理解しづらいだけではなく、情報処理的な観点から「情報の圧縮」を実現するための工夫でもあります。哲学的な概念は抽象度が高く、多層的で複雑なものです。そのため、こうした情報を一つの言葉や短いフレーズに圧縮して扱えるようにすることで、思考や議論

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「大きな物語の終焉」と現代の生き方のヒント

「大きな物語の終焉」と現代の生き方のヒント

「大きな物語」とは何か?まず「大きな物語」とは、社会全体が共通して信じる目標や価値観のことです。例えば、戦後日本の「高度経済成長」や「平和な社会の実現」といった理想が挙げられます。こうした大きな物語は、私たちに進むべき方向や生き方の指針を示していました。

しかし、フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールは、こうした大きな物語がもはや機能しないと指摘しました。ポストモダンの時代には、人々が「

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哲学で重要なのは哲学者を覚えることではない

哲学で重要なのは哲学者を覚えることではない

1. 哲学者の名前を覚えることの限界哲学を学ぶとき、最初に出てくるのが有名な哲学者たちの名前です。ソクラテス、デカルト、カント、ニーチェ……彼らの主張や著作の内容を暗記することが、哲学を理解する第一歩のように感じられるかもしれません。

しかし、名前を覚えること自体は哲学を理解するための本質的な部分ではありません。知識の詰め込みに終わってしまうと、考えることの楽しさを見失いがちです。哲学者の名前を

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