シケモクミッドナイト
生意気で我儘でその癖こだわりが強くよく他者からは捻くれ者と揶揄され距離を置かれることがあるし口癖は「面倒くさい」「眠い」「だるい」etc...
パンよりご飯、珈琲より日本茶が好い猫を崇めている何処にでもいるどうしようも無い1999年生まれの男である。
K000KIと申します。読み方は木村拓哉氏のご息女と同じ「コウキ」という訳なんですけどもこれがまたなんで「コウキ」「こうき」「koki」ではなくて「K000KI」表記にしているかはまた今度。これから駄文をつらつらと並べるけどもよろしく頼みます。
堕落した僕でもnoteを始めた理由がある。
きっかけはなんてこともない。
手帳に今日起こった出来事を記す者。
芸術文化を発信する者。
数分間の労力を使って加工した画像を使い所謂キラキラしている、かっこいい、チルい(なんて言葉の表現が最近はあるらしい、、、僕は使いたくない)自己を演じ他者からの評価を得るために必死な者。
(暗いニュースばかりの薄汚れたこの街だからSNSくらいは法を犯さない程度に自由でいいと思うけども)
僕はその日にあった出来事をスマホのメモ機能に残したり、感情を整理するために文を書いて満足したら書いたものを捨てたり消すことが稀にある。ほんとに稀に。
でもそれをインターネット上に残しておけばいいんじゃね、見返すことはないと思うけど、といった軽い気持ちで僕の場合はここに記す。(とはいえ自己顕示欲と承認欲求が大半)
堕落人間なので長続きはしないと思うがはじめてみた。note株式会社がサービスを終了したらやめるけども、どっちが先にやめるかなあ。
ここまでが前置き。
僕はラジオ番組や音楽を聴きながら移動することがほとんどで。
その日も労働を終え当然のように脳機能を完全にoffにする。身支度をして耳にワイヤレスイヤホンを装着し『ラランドの声溜めラジオ』を聴いて帰路に着いた。労働したくない人間だから本当に何も考えてない、熱狂仕事大好きヒューマンを見かけたりすると「まじかあこの人とは分かり合えないかもしれない」と思ってしまう、残念。
労働場所から自宅までの間イヤホンは耳から外すことなく着けていてなんなら自宅に着いてからも数十分耳から外すことはなかった。
さてと、シャワーを浴びてご飯の支度でもするかとイヤホンをケースにしまおうとしたがケースが見当たらない。ジャケットのポケット、カバンの中を見渡してもそれはない。
まただ。完全にやってしまっている、記憶を辿ろうとするが脳機能をoffにしていた訳だから覚えているわけが無い。
道を戻って探しに行こうとはするが1度帰宅した堕落人間の僕がもう一度外に出ることはそう無い。とはいえワイヤレスイヤホンだからケースは必須で充電出来ないと意味が無い。
もしもケースを拾った人がいて、なんだよ中身ねーじゃんポイッとされてしまったらそれはそれでいたたまれないし、雨にでも濡れたら最悪。落ち着いて考える時間が必要だった。ひとまずシャワーを浴びるが身体を洗っている時に決心した。早く探しに行こう。
面倒な髪を乾かす作業を終え洗濯済の靴下を履きあくまで今から散歩に行くんだと自分に言い聞かせて外へ出た。(散歩は好き、歩くのはめちゃくちゃ好き)外へ出てから地面とにらめっこの時間が続く。もちろん既に日は落ちている。坂本九氏には申し訳ないがこの時間だけは下を向いて歩くよ、すまない坂本さんと心の中で呟く。所謂住宅地に住んでいるため明かりはあまりなく時間帯もあってか人通りも少ない、薄暗い道を進む。寧ろ周りに人が居なくてよかったかもしれない夜更けに成人男性が地面を凝視してゆっくりと歩いている様を他者に見られたくない。
そういえば最近見たTV番組で数人のタレントが「シケモク」を探す描写があった。近年は世界的な禁煙ブームであるから喫煙者はかなり制限されていると思う。路上でタバコを吸って捨てるなんて愚行はしないだろうと思ったら大間違いで。街にはもうシケモクだらけ、シケモクしかない、朝の渋谷、新宿なんてのは酒の缶があれば近くにシケモクがあるしカップ麺の容器の中にはシケモクがあるし、、、つまり至る所で喫煙者が反骨してるぞってこと。がんばれ喫煙者。不思議なことでそんなことを考えているとシケモク探し欲が出てきた、シケモクを探したいなんて感情は人生でもうこれっきりだと思うから意気揚々シケモク探しに出た。もちろんイヤホンケースの存在は忘れてない。数分探していると空からポツポツと、、、ああ雨は嫌いだ。気圧で頭も痛くなるし傘を差すのも面倒だし、とはいえ雨に濡れるのは避けたい。しかもこちとらシャワーは浴びてきてんねん。なんでまた濡れなきゃいけないんだ。天気予報を見ていない数分前の自分を悔いながら一旦傘を取りに自宅へ戻りビニール傘を差しながら再度探索する。どうにか気分を上げようと心の中ではじめてのおつかいのテーマソングを唄ったりせっかくの雨を楽しもうと『Singin’ in the Rain』を唄って酔いしれようとしたけど無理無理、今の僕にはシケモクを探す余裕はあるけど雨を楽しむ余裕はない。『夢の中へ』の軽快なメロディーを再生しながら気持ちを保つ。そういえば物を探す時は探し物を声に出しながら探すと早く見つかるらしい。「メガネ、メガネ」といった例のあれは理にかなっているようだ。どれくらいの時間が経ったのか。良い事なのか悪いことなのか、この街にはどうやらシケモクはないみたいだ、さすが住宅地といったところだろうか。再度イヤホンケースを探しに出る、雨に濡れすぎてほしくはないから早めに探さないといけない。とてもシケモクを探す余裕などハナから無かったのに、、、
そこで着信が鳴った、労働場所からだ。今はイヤホンケースを探すのに忙しいし、何よりこの電話に出たら時間外労働として賃金が発生することになる、時間外労働はまじで嫌いだからワンコールで電話を切るが聖人な僕は電話を出ちゃう。
「イヤホンケースがあるけど君の忘れ物かい」と云われる。。。
ホモサピエンスの行動の9割は無意識だと聞いたことがある。数時間前の僕は思わず知らずイヤホンケースを置いたまま帰社したようで。傘片手に1度通った暗い道を戻って物を探すなんてことはもうしたくない。
胸がすく思いと暗澹たる思いが混ざりながら自宅へ帰ろうとぼーーっと歩いていると向こうから赤い洗面器を頭にのせた男が歩いてきた。洗面器の中にはたっぷりの水。男はその水を一滴もこぼさないように、ゆっくり、ゆっくり歩いてきた。僕は勇気をふるって、「ちょっとすいませんが、あなたどうしてそんな赤い洗面器なんか頭にのせて歩いているんですか?」と聞いてみた。すると男は答えた。
—完ー