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【検証】福田投手を通じて見るドラゴンズ2軍投手運用の正常化~全球団高卒ルーキー運用比較~

全世界1760人のドラゴンズファンの皆様、こんにちは!
ドラゴンズ2軍は全日程を終え2位に入り、昨年の最下位から大躍進を遂げました。
ただ強いだけではありません。
なんと、あのドラゴンズで高卒ルーキーの投手が順調に育っているのです。
これを1年前のファンが聞いたら誰が信じたでしょうか?

2軍の投手陣といえば、まさに「焼け野原」と言っても過言ではないほど壊滅的な状態でした。
先発投手不足に苦しみ、高卒ルーキーだった森山投手を4月から中6日で登板させ、100球を超えて投げさせることもありました。

今年は高卒ルーキーの福田投手が加入し、その運用方法に注目が集まりました。
草加投手の手術や先発補強がないなど、不安要素は多かったものの、今年から2軍を担当する落合英二コーチと、「森山投手の件を反省している」とオフに語っていた浅尾コーチがブルペンデーを有効活用し、(コンディション不良はあったものの)福田投手のデビューを完璧にサポート。
結果、次々と好投を続け、来季が非常に楽しみな存在になってます。

今回はその福田投手の運用が他球団と比較してどうだったのか、そしてドラゴンズが"ふつう"の運用ができるチームになれたのかを検証していきます。


高卒ルーキー2軍イニング数比較

3軍.4軍.練習試合を除く

まずは、投手運用を見る上で基本となるイニング数から確認していきます。

福田投手の位置はどうでしょうか?
他球団と比較すると、投げているほうではありますが、許容範囲内に収まっていると言えるでしょう。
少なくとも酷使とは無縁の数字なことは明らかです。
ちなみに、最下段に記載してある昨年の森山投手は1ヵ月でこの数字を投げました。
繰り返します。1ヵ月です。それも4月。
ドラゴンズが高卒投手を"ふつう"に運用できるようになったかどうかは、この表を見るだけで判断できるかもしれません。

なお、トップは唯一の高卒投手ドラフト1位であるソフトバンクの前田投手です。
彼は3軍戦・非公式戦でも5試合19イニングを投げており、合計すると84イニングを消化しています。
非常に多く投げた印象ですが、残してる数字は圧倒的です。(詳細は後述)

初速にどれだけ負荷をかけたか

年間の数字が良くても、昨年の森山投手のように最初から全速力で飛ばす運用では意味がありません。
森山投手は初登板からわずか4試合で離脱してしまいました。
そこで彼を基準として、デビューから4登板目までに何日かかったか(登板間隔)、さらにその4試合でどれだけ球数を投げたか(平均球数)について、全球団の高卒ルーキー投手との比較を行いました。

※注意点
下記の表・グラフは練習試合・3軍戦などを含めたものです。
可能な限り調査しましたが、ロッテと楽天の練習試合に関する情報を得ることができませんでした。
試合自体が組まれていなかったのか、筆者の調査が不十分だったのかは定かではありませんが、今回は一旦ないものとして扱います。
オリックス・西武は公式HPから試合結果を確認。
ソフトバンクは公式HPは4軍まであるせいか有料なので地元ニュースサイト、SNSで確認。
中日は個人ファンサイトから確認。

福田投手については、練習試合で球数が不明の1試合を除いた3試合の平均球数です。

グラフにすると以下の通り。

左上に行くほど低負荷、右下に行くほど高負荷な滑り出しというグラフです。

このグラフを見ると、昨年の森山投手がいかに常識から外れた扱いを受けていたか、そしてドラゴンズがそこから"ふつう"の運用を行えるようになったことが改めて明確になります。
福田投手については、球数が少なかったと思われる1回打者3人で降板した試合の球数が不明なため、計算には含まれていませんが、もう少し左にズレます。

他球団に目を向けると、今年最も危険な状況にあったのは楽天の大内投手です。
森山投手ほどではありませんが、かなり負荷をかけたスタートを切りました。しかし、登板が進むにつれて球数は減少し、最終的なイニング数は最初の表の通り福田投手よりも少ない4番目となりました。

シーズンを通してどれだけ負荷をかけたか

ドラゴンズの滑り出しの運用がふつうになったのは前の項でわかりました。
続いて通年にわたる運用の"過程"を追ってみてみましょう。
全員の比較をするのは筆者が大変なので、今回は比較対象として代表となる3人を選びました。

比較①:中日・福田投手

左肩の違和感で初登板が6月になってしまいましたが、デビュー以降の運用は健全そのもの。
ほとんどの登板で中10日前後の間隔を取り、球数も80球を超えてからは少しづつ増やし様子を見ながら運用したのがはっきりとわかります。

今回のnoteでは取り上げませんが、ドラゴンズ2軍の先発事情は人手不足で非常に苦しいです。
福田投手の肩を守るため、様々な策を講じてゆとりを持たせたローテを組んだ2軍投手コーチにみなさん大拍手をお願いします。

比較②:ソフトバンク・前田投手

2人目に取り上げるのは圧倒的な数字を残したソフトバンク前田投手。
高卒プロスペクトをソフトバンク大帝国がどのように取り扱ったのか気になるドラゴンズファンも多いのではないのでしょうか?

デビュー直後はかなり負荷はかなり抑えています。
表を眺めると、流れるように球数を増やしていくのが見ていて気持ちいですね。
初の中6日は6月に経験したものの基本は中10日前後。
8月に連続中6日登板を果たし、その後はルーキーとは思えない立派なローテの一員として投げてます。
恐ろしいのは結果も素晴らしい数字を残している点。
1軍デビューは残念なものだったかもしれませんが、間違いなく今後日本を背負う投手の1人になるでしょう。

比較③:楽天・大内投手

最後は初速が昨年の森山投手の運用に最も近かった楽天の大内投手。
前述の通り最初は飛ばす運用でしたが、夏場からリリーフ登板を中心となり、球数もかなりペースダウン。

やはり高卒ルーキーが最初のうちから飛ばしすぎると後でツケを払うことになりそうです。
(楽天ファンの方、大内投手やチームに何か事情があって的外れなことを言っていたらすいません。)

高卒ルーキーK% BB%比較

続いてルーキー達の投球の"質"を測るために投手の能力を測るうえで有用とされているK%.BB%.K-BB%を見ていきます。
(K%=三振÷打席数)(BB%=四球÷打席数)

三振と四球は投手と打者の間で完結する項目であり、守備力に左右されないため、これらの数字の良し悪しが投手の能力によってもたらされたと言える側面が強いと考えられています。
守備が介在する防御率、自チームの打者の力に影響される勝ち星で投手力を判断するなんてよくないよねというお話。
※MLBのデータですが、K%は70打席・BB%は170打席がサンプルサイズの目安とされています。
この点に留意しながら、指標を見てみましょう。
1.02 ESSENCE of BASEBALL - サンプルサイズ

前項でソフトバンク前田投手がかなり投げたという話をしましたが、それでもなおトップクラスの指標を叩き出しており、ドラ1の名に違わず別格の存在です。
結果を出す→登板機会もどんどん与える。
好循環が生まれているように見えます。

一方、中日の福田投手はK%は全体よりも上の数値ですが、BB%がかなり悪い。
制球を磨くか、今よりもゾーンで勝負できるようになればさらに上のレベルへ行けるかもしれません。

ドラゴンズ2軍の投手力はどれだけ良化したのか

昨年の森山投手と比較して福田投手の運用がいかに素晴らしいものだったのはここまでお読みの方は理解してくださったと思います。
最後はドラゴンズ2軍の投手力がどれだけ向上したのか見ていきましょう。
健全な運用は結果にもちゃんと表れてきます。

(K%=三振÷打席数)
(BB%=四球÷打席数)
(HR%=本塁打÷打席数)

全ての数値で昨年を上回っています。

ただ、今年は投高打低の印象が強く、投手成績が良化したのは飛ばない球の影響では?と感じる方も多いかもしれません。そこで、この疑念を払拭するために、次はリーグ全体との差を確認しドラゴンズ2軍投手陣がどれだけリーグ平均に近づいたかを見ていきます。

まずは昨年の数値。

当然ながら、昨年の数値は全てリーグ平均を下回り、失点・自責点ともにリーグ最下位でした。

では、今年の数値はどうだったのでしょうか?

昨年とは一転して、全ての数字でリーグ全体より良好な結果を残しました

私メンタリストやらしてもらってるんで皆さんの言いたいことわかるんですが「柳・大野・福谷ら本来主力である選手たちのおかげなんじゃないの?」と思ってませんか?
たしかに彼らは今季2軍でかなりの数を投げました。
対戦打者数はチームで3位福谷・4位大野・5位柳。3人で全体の約15%を占めます。
この3人の成績を確認してみましょう。

四球を出さない力はさすが。しかし奪三振力は大野も柳も全体を下回っています。
つまり若手投手に三振をとる力がついていると言えます。
裏を返すと柳・大野は2軍レベルでも三振がとれておらず、ここを乗り越えないとチーム事情的にも厳しいという事です。

おわりに

再度申し上げますが、先発補強はなく、頼みの綱だった草加投手も手術を受けお先真っ暗でした。そんな中で彼らをうまく運用しきったのは偉業だと思います。
改めて2軍首脳陣、関係者、何より頑張った選手たちに心からの大拍手を送りたいです。

高卒ルーキーの取り扱いは正常化し、K%.BB%等の指標も他球団レベルに追いつきました。
ドラゴンズ2軍投手陣は今年1年でようやくスタートライン立つことができました。
ここからが本当の勝負です。
来年がますます楽しみですね。



あとがき
昨年森山投手の怪我が判明した際、「この程度で怪我をするなんて」「ファンは過保護だ」などの声をSNSで目にしました。
その意見は間違っている。森山投手が受けた扱いは不当なものだったという事を必ず証明してやるという気持ちを原動力に今季1年間noteを書いてきました。
結果はどうだったでしょうか?

そして、毎月私のnoteを読んでくださっている方は森山投手の怪我からドラゴンズがどう生まれ変わったか、そして旗振り役として2軍コーチ陣が素晴らしい働きを見せてくれたということは十分伝わっていると思っています。
今季は福田投手の肩を守る事が最優先課題としてローテーションが回っていましたが、全体でみるとまだローテをカツカツで回しているのが現状です。
さらなる投手補強により、次は全員が最大限の力を発揮できるような運用を実現するため、編成の手腕でその体制を整えてほしいところです。

1年間ありがとうございました。

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必要だなと思えば返信もします。

今月はここまで。
また次回のnoteでお会いしましょう。

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データ引用:NPB公式
データ引用:福岡ソフトバンクホークス公式
データ引用:オリックス・バファローズ公式
データ引用:埼玉西武ライオンズ公式
データ引用:週刊ベースボールONLINE
データ引用:スポナビ 野球速報
データ引用:若竜闘いの軌跡
データ引用:1.02 ESSENCE of BASEBALL
※全て無料で閲覧可能部分のみ引用しています。

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