Design in Tech 2019 @SXSW 現地での最新レポート
3/9(土)の12:30〜13:30の日程でJohn Maeda氏による今年版のDesign in Techレポートが行われました。昨年、Takramさんによる2018年度版の素晴らしい翻訳レポートが行われており今年もその翻訳版を待ちたいところですが、現状でのDesign in Techの最新レポートをお届けします。
セッション自体は1時間ほど、John Maedaさんのマスターヨーダのような達観した姿勢とたまに投げ込むジョークによって、会場内は終始和やかな雰囲気の中で行われました。400人ほど入るホールも30分ほど前にはクローズになっていたので、来年参加される予定のある方は時間にも注意してください。
さてセッションの方ですが、1時間の内容をモニター同録を編集した17分のビデオとして、Johnさん本人で早速まとめられています。二週間以内にアップデートされたものが投稿される、とDesignIn TechレポートのWebにて語られていますが、現時点では以下のYouTubeがもっともわかりやすいサマリーとなっています。
今回、大きく6つの項目でお話されています。
1:TBD=Tech、Business、Designの考え方について
この辺はTakramさんの本などでもよく語られていますが、おさらいとしてのTBDの話。
2:About Design-___ Organization
デザイン〇〇な組織の考え方について。マッキンゼーのデザインチームがまとめているデザインファシリテーションの話を下敷きにしながら、組織の中でのデザインのあり方についてのまとめ。
マッキンゼーデザインについての話は、Design in Techの前に行われたセッションにて偶然行われたものを、下記のFacebookページてレポートしています。
3:Awesome Humans
ジョンさんが刺激を受けた10人の素晴らしきクリエイティブパーソンについて。インクルーシブデザイン(=社会的弱者も含めた多くの人に訴求するためのデザイン)の視点も取り込みつつアーティストや中国のGeneration Zでのテックを使った遊びにも言及。スライドの中では漏れていますが、以下の2つの動画紹介では会場の爆笑を誘っていました。
また、日本のデザイナー Kosuke Takahashiさんが開発したBraille Neueに関しても言及しています。
4:Three Tasty Trend Mixed
三つの対照的な視点からのクリエイティブアプローチについて。全体的に少し皮肉の溢れる内容な印象。
実用的 ←→ クールなもの。過去クールとされてた未来イメージなものが現代で実現化された時にどうなっているか、をビデオとともに紹介。
攻撃(犯罪) ←→ 防御(防衛)。個人情報がネットに入り込んでいる昨今においてプラットフォームを信じすぎるかどうかについて。
Hand Craft ←→ Speed Craft(ここでのSpeed Craftがどういう意味かがいまいちつかめず)。ハンドクラフトのような目的に沿ったものづくりと、削ぎ落としながら技術をアップデートするものづくりとの対比について。
5:Boring AI。AIが世界を破壊することに注目してもつまらないから、周辺で起こっているAIが起こすいくつかのポジティブな変化について。自動生成される画像処理やデヴィットボウイが90年代に語ったインターネットについての映像を紹介しながら、AIとの関係についての整理。
6:Addressing Imbalance
不均衡にどう対処するか。2日前に公開された以下の映像を紹介しながら、バランスを取ろうとすることで起こる不均衡について。
この映像は瞑想に入る語り口のような流れから、Facebook、Instagram、Wordpressのそれぞれの特徴についての心理的風景のビジュアライズ映像です。緩やかな空気にピリッとしたエッセンスが交わっています。
個人的に感じた本セッションでの全体的なイメージで言えば、最後の章にある不均衡な状況にデザインでどう対処するか?を軸にしながら、AI、組織づくり、過去と未来、プライバシーについて、インクルーシブ&コンピューテーショナルデザインを上手く扱える人がそこを乗り越えていけるよね、デザインは俺たちの柱だがら上手く解釈して頑張ろうぜ!という示唆があると感じました。
読み解くのに1時間のセッションでは短すぎる情報ボリュームなので不十分なサマリーレベルになっていること、またところどころ間違いがあるかもしれませんが、本年のDesign in Techレポートの参考になれば幸いです。