サッカー少年団、指導者 まずは、 「リスクマネジメント!!」
サッカーの指導者として、リスクマネジメントといえば、試合でのリスクマネジメントと考えると思います。サッカーなら、ボールを奪われて守備に切り替わったときに、守備の人数が足りなっかたり、相手FWをマークしないで失点となるようなピンチを迎えないように、ボールを奪われたときのことを想定して、対処する準備です。ここでは、プレイではなく子どもたちの安全のためのリスクマネジメントです。
安全の配慮は、大人の責任。リスクマネジメントをしながら、サッカーでの安全確保とは?
安全のリスクマネジメントとは
安全管理を行う上で,最近では一般的となっている考え方に「リスクマネジメント」という考え 方があります。通常リスクとは「損失が発生するかもしれない不確実な要素」と定義されています。 つまり,現在はっきりと目に見えて分かるものや見えないものなど,何か自分にとって損失(事故 やけが,良くないことなど)が起こりそうだと感じた時にはリスクが存在していると言えます。ま た,リスクマネジメントとは「リスクの存在,大きさなどを事前に把握し,合理的な方法とコスト で適切な対処策を講じておくことにより,リスクによるダメージを小さくすること」とされていま す。ですので,リスクを察知し,起こったときの損失を許容範囲にとどめるように対処策を取るこ とになります。
目次
1.ゴールの転倒
2.選手のケガの処置
3.熱中症対策
4.低体温症対策
5.一次救命措置(心臓震盪、脳震盪)
6.落雷事故防止
1.ゴール転倒の対策
サッカーゴールは構造的に倒れやすい形をしています。一部では転倒対策をしていないゴールが、まだまだあります。ぶらさがって遊んだり、危険な行為をする子どもも多くいます。結果、倒れて事故になったケースもあり、運よく事故に鳴らなっかたケースは、これよりもはるかに多いでしょう。
対策1 ウエイトを置く
サッカーゴールはその構造上、重心が前に寄っています。後ろに重い物を置くことで、簡単には倒れなくなります。
対策2 杭で固定する
杭でゴールの土台を固定する方法です。練習や授業用ゴールであれば特に制限はありません。
2.選手のケガの処置
外傷と障害
外傷:1回の大きな外力によって生じる
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受傷直後の応急処置が大切
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RICE処置
R:Rest 安静にする
I:Ice 氷で冷やす
C:Compression 圧迫する
E:Elevation 挙上する
ケガをした直後は、まず圧迫を優先させる。
障害:繰り返される微力な力が特定の部位に集中することによって生じる(疲労性のケガ)
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痛くてもサッカーの練習が可能であることが多い
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しかし要注意!!
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育成年代では、長期間、痛みを持ってサッカー練習を行わせると、基本的技術の上達が遅れる場合がおおい
ケガには2種類 見分けが大切
1.サッカーの練習をしながらでも、早期に治っていくケガ
2.サッカーの練習をしていては治らない(休まないと治らない)ケガ
発育期スポーツ障害は、早期発見、早期治療!!(オスグッド病、腰椎分離症等)
ケガの予防をしよう
・発育期は、大人の身体と異なるので、十分なウォーミングアップが必要
・ウォーミングアップなしの強いボールキックは膝、足関節、股関節、腰の障害の原因になりうる
ケガをしない身体づくり
・柔軟性
・体幹の安定性
・ブラジル体操
3.熱中症対策
熱中症は死に至る可能性も
暑い日の試合、トレーニング、人はこのように体温を下げている。
皮膚にかいた汗が蒸発する(脱水で汗がでない)
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汗が蒸発するときに皮膚から熱を奪う(気化熱、湿度が高くて、風もふいてなくて、汗が蒸発しない)
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気化熱により皮膚の温度が下がり、体温が下がる
予防
体調:選手ひとりひとりの体調を把握する
脱水:十分な水分補給を指導する
水分補給だけでは予防に不十分な場合があるので注意
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強制的な身体の冷却が必要(脇下、股下、首まわり、塩分補給をする)
湿度に十分、気をつける
救急処置
意識が朦朧としたら ➡ 直ちに救急車を呼ぶ!!(ショック状態の時は、頭を低くすること)
意識がはっきりしていたら
・涼しい場所で休ませる
・冷水、氷で身体を冷やし、周囲よりあおぐ
・水分補給をする(湿度が高い状態では、汗が蒸発しにくくなるため水分補給のみでは、ダメ!湿度が高い時には、とにかく身体を冷やすこと!)
日本サッカー協会 熱中症対策ガイドライン👇
4.低体温症対策
低体温症とは、何らかの原因で身体が冷えたために体温が低下し、身体の機能が保てず様々な症状が起こる症候群です。悪化すると死に繋がることもある。(熱中症の反対なイメージ)
深部体温
冬、外に出ると手袋をしていなかったら手の表面は冷たくなります。そして屋内に入ると、いつの間にか手の表面が温かくなっていることに気づく。これを皮膚体温といいます。身体は冬であろう夏であろうと同じように、機能しないと日常生活は営めません。このため、内臓や脳など大切な器官を守るために、身体の中心部の体温は常に、一定の温度に保たれています。この体温を深部体温といいます。
運動中は、激しい動きで身体の熱が上がる
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深部体温を一定にするために、汗が大量に出る
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運動を終えてもしばらく汗がひかない
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汗をふかずにそのまま屋外にいる
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汗で熱がさらに奪われて体温が下がる
予防
暖かい場所に移動し、汗を拭き、温かい飲み物や身体のエネルギー源となる甘いものを与え、身体を内外から温める。(手袋、カイロ、ベンチコートなども必要)
救急処置
意識が朦朧としたら ➡ 直ちに救急車を呼ぶ!!
5.一次救命措置(心臓震盪)
突然死:サッカーの現場で死亡者を出してなならない!!
心臓に病気を持っている選手(自覚症状なし)症状は全くない、特殊な検査を行わないと発見できない心臓病がある。
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心臓震盪(しんとう)心臓に病気を持ってなくても心臓が止まることがある。正常な心臓(胸)にボールなどが当たることにより心臓が停止することがある。子どもに多い
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サッカーの現場では、突然死の可能性が常に存在する。AED・適切な救命処置をおこなうことで、ほとんど救命が可能!
心肺蘇生・AEDを行えるようにしましょう!
練習場・試合会場にどこにAEDがあるか確認
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意識がない選手にすぐにAEDと救急車を手配
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呼吸をしているか確認する(10秒以内で判断を!)
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呼吸をしていなっかたら、すぐに心肺蘇生を開始
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気道確保、胸骨圧迫が大事!(自信がなくても、とにかく胸骨圧迫!)
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AEDが到着したら、電源を入れ、添付されている図のとおりにパッドを貼って、AEDの指示に従う👇
(脳震盪)
脳震盪はどのように起こる?
頭が他の選手のからだの一部(頭、膝、肘など)と強く接触したり、強く蹴られたボールを直接頭で受けたり、ゴールポストに直接頭を打ったりするほか、直接頭を打たない場合でも、スライディングをした際に、相手選手の膝がした顎に入り、頭が強く揺さぶられる場合でも脳震盪が起こる可能性がある。
脳震盪をどう見極めるか?
1. 自覚症状を確認する。周囲の呼びかけに、しっかりと応答できない。頭痛やめまい、耳鳴りや吐け気などがある。
2.記憶や現状認識を確認をする。今日の日付、場所、何の試合、対戦相手、スコアを明確に回答できない。
3.バランスを確認する。目を閉じて、両手を腰に当てて20秒間立たせ、目が開く、手が腰から離れる、よろける、倒れるなど頻繁に起こる。
対処
自覚症状、記憶や現状認識、バランスなどを確認し、少しでもおかしいと思うところがあったら、プレーを中止させ、安静にさせましょう。できる限り、速やかに専門医に診てもらう。
簡易的な脳震盪診断ツール”Poket CATS"を用いて脳震盪であるかどうかの判断をしましょう。👇
6.落雷事故防止
財団法人日本サッカー協会の防止対策についての指標👇
落雷で死亡事故が多いのは?
・開けた平地での雷の直撃
・木の下の雨宿りでの落雷
雷が鳴り始めたら
・建物、自動車の中に避難する
非難する場所がない場合
雷しゃがみの姿勢
1.頭を下にかがめる(できるだけ姿勢を低くする)
2.両手で耳をふさぐ
3.足の両かかと同士を合わせる
4.つま先で立つ(かかとを地面から浮かせる)
※両足のかかとを合わせる理由は、万が一雷の電気が足から侵入しても、上半身まで流れないように片足から反対側の足へUターンさせて流し返すためである。
また、つま先で立つ理由は、地面との接点を小さくし、電気の侵入を最小にするためです。
危険な行為
・傘をさすのは危険
・自転車やバイクを乗るのは危険
・木の下や建物の軒下は危険
以上、私がサッカーで子どもたちの安全を確保するための、リスクマネジメトです。
それでは、また。