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「とりあえずビール」は慣用句?
製造工場に21年、勤務しているアラフォオヤジのだっちょです。
いきなりですが、お酒の席で、初めの1杯といったら?
「とりあえずビール」と無意識に頼んでしまう。
お酒が飲めない人からしては、イラッとくることだと思いますが、これは日本の宴会で見られる慣用句とウィキペディアに記載されています。
とりあえずがついたわけ
とりあえずという言葉が気になってしょうがない。
とりあえずと聞くと最初だけ、間に合わせみたいにも思える。そう思うと100均ショップの商品と似た感覚をイメージしてしまう。
なぜビールだけが、とりあえずという言葉がついてしまうのか?他のお酒では、あまり聞いたことがない。
それは、ビールは昭和30~40年の高度経済成長期とともに、大衆化が進み庶民の日常的な飲み物なった。当時は日本酒を冷やで飲む習慣があまりなく、熱燗をつけると時間がかかっていた。
そこで大勢で乾杯したい時には、一番手っ取り早く、一気に出てくるビールが好まれ「とりあえずビール」と言われるようになったわけです。
手っ取り早いだけなの?それ以外には
最初にアルコールが高いお酒を飲むと、内臓に負担がかかり、すぐに酔いがまわってしまいます。
日本のビールは、アルコール度数が4~5%程度と低いので、初めの一杯としても最適。
ビールの原料のホップは苦味、香り、泡に重要なだけでなく、雑菌の繁殖を抑え、ビールの保存性を高める働きがあります。
また、ビールに含まれる炭酸や、ホップの苦みが胃腸への刺激となって、食欲の増進と利尿作用もあり、新陳代謝を促す効果もあります。
体に負担をかけないうえ、食欲も増す。運動する前の準備体操と一緒なんです。
とりあえずのビールを美味しく飲むには
まず、1杯目のビールを飲むと「ぷあ~うまい!!」
でも、1杯目がうまかったから、2杯目、3杯目と・・・「んっ、飽きてきたな」「じゃあ、ちがう酒を飲むか」という具合に。
「まてよ、なんで1杯目は格別に、うまかったんだろ?」
この違いは、ビールは味わうものではなく、無意識のうちに1杯目は、のどの渇きを潤すために、潤いとのどこしを求めていたのです。
潤いと、のどこしが融合して初めて美味しく感じる。
それじゃあ、2杯目、3杯目のときは、のどの渇きはあっただろうか?1杯目を飲み終わった時点で、無意識に無くなっていたのです。
つぎにビールのうまさは、グラスの清潔さに比例します。
グラスやジョッキについた汚れは、ビールの味や香りを損なう大敵なのです。汚れのもとというのは、たいてい油分。
ビールの美味しさを守るのに、フタの役割を果たす泡は、油分に触れると、表面張力に変化が起こって消えてしまうからです。
せっかくきれいに洗っても、ふきんの細かい繊維クズや油分がグラスについてしまいます。
さらにグラスは、洗剤できれいに油分を落とした後、まず流水でよくすすいでから、熱めの湯で軽くすすぐ。
それから、ホコリがかからないように、逆さまに伏せて自然乾燥させるのがベストです。
ビールのグラスを車の洗車で例えると、水洗いだけをして拭き残しがあるとキレイにならない。
ワックスをかけてキレイに拭き取らないと、またすぐ汚れてしまうのと一緒で、清潔さを保つことが大切です。
ちなみにアメリカのバーでは、細かく砕いた氷の上にグラスを伏せて並べ、それにビールを注ぐというお店が多い。
ビールは冷やしすぎず、ぬるすぎず
初めにビールを飲むなら誰だって冷蔵庫で冷やして飲む。
生ぬるいビールなんて人はいないでしょう。
だが、冷たければ冷たいほどいいかと言えば、そうではありません。冷えすぎたビールは泡がキレイに立たない。
舌がマヒして、ビール本来の美味しさが味わえません。
続いて、ビールを美味しく飲むための理想的な温度は、一般的に夏は6~8℃、冬は8~10℃とも言われています。
どんなに冷たいのが好きな人でも、せいぜい5℃が限界。それ以上冷やすと、ビールの中のタンパク質が固まってにごりが出ることもあります。
あまりに長時間冷やしても同じこと。
これを例えるとしたなら、人間には、ホメオスタシス(恒常性)があります。ホメオスタシスとは外部の環境にかかわらず、一定の状態を保とうとする調節機能です。
例えば、
暑い時は、体温を下げるために汗をかきます。
寒い時は、体温を上げるために体を震えさせます。
これらは全て「ホメオスタシス」の働きです。
さまざまな外部環境の変化(=ストレス)による影響を受けたとしても、この体内環境のバランスを保つことで健康を維持しています。
最後にビールも、最適な温度管理をしてあげれば、美味しく飲むことができます。過度な温度管理では異常をきたし、うま味が落ちてしまうので注意をしましょう。
家庭の冷蔵庫に入れるなら、飲む5~6時間前が目安です。
ビールのうまさは注ぎ方で決まる。その秘訣は繊細な泡の量
ビールの味は、注ぎ方でかなり左右されます。それは、ビール独自の泡が存在するからです。この泡は見た目も大切。
なければ、ビールという飲みものか判断しづらい。泡がうまく立つか立たないかで、味が全然違うという繊細さを持っています。
まずは、泡がたくさん立てば、ビールに大量に溶け込んでいた炭酸ガスが、適度に抜ける。ビールの中の若いホップの分子も、泡に吸い取られ、さわやかな味になる。
そして、そのまま泡がフタの役割りを果たして、飲み終わるまで、炭酸ガスが抜けてしまうのを防ぐわけです。
つぎに泡が立たなければ、ビールに溶け込みすぎていた炭酸ガスが、胃の中でぼわっと泡を立てる。ホップの苦さが舌を刺すし、すぐに気が抜けてまずくなります。
さらに泡をうまく作るコツは、グラスをまっすぐに立て、はじめはゆっくり、次第に勢いよく注ぎ入れ、きれいに泡が立ちはじめたら、その泡を下から持ち上げるように静かに注ぐこと。グラスの3割の厚さが理想的です。
美味しいラーメンは、スープ作りの際、アクが出ますがこれは、丹念に人の手でアク取るから、麺と絡みあって美味しくなるのです。
ビールの泡もラーメンのアク取りと一緒で、理想の3割の厚さにすれば、炭酸ガスやホップの苦みを上手く取って、ビールの本来の味にしてくれる役目をしてるんです。
そういう意味では泡の立ちにくい小さいコップというのは、最初から美味しいビールを飲むのに適していないし、ビールを美味しく飲むための差別化。
グラスを傾ける人がいますが、グラスを傾けてしまうとあまり泡が立たない。泡の消えたビールに新しく注ぎたすのも、せっかくの新鮮なビールの味が台なしになってしまいます。
グラスが空になってから、新しく注ぐのが美味しいビールの注ぎ方です。
ビールはチェイサーにもなる
あなたが今、バーで強いお酒を飲んでいるとしましょう。
ちょっと酔いが回ってきて水がほしくなりました。
バーや居酒屋でチェイサーを頼むと、大抵は「水」がでてくると思います。
このことからチェイサー=水だと思ってしまいがちですが、チェイサーとは英語で「追いかける」という意味を持ちます。
チェイサーは、「お酒の後を追うように飲む飲み物」を指す言葉。
辞書にも「強い酒の直後または間に飲む水・ビールなど」と載っています。
冷たいビールだけで飲むだけじゃなく、飲む合間に、スピリッツを飲むという飲み方もあります。
ビールと相性のいいスピリッツは、北欧産の「アクアビット」。別名「シュナプス」とも「ハーブ・スピリッツ」よも呼ばれています。
じゃがいもや穀物を原料に、キャラウェイ、ディル、アニスなどのハーブやスパイスで香りをつけた蒸留酒。
飲み方は、ボトルもグラスも冷凍庫で霧がつくほど冷やしておき、酢漬けにしたオードブルなどに合わせて飲むのがおススメ。
食事中、ずっと飲み続つづけてもいいけれど、途中でビールに切り替えたり、ビールをチェイサーにして交互に飲んでもよし。
アクアビットはワインとは、相性が悪いが、ビールとは相性がいいといわれるぐらいで、ビールで冷えた胃がアクアビットで温まり、食欲を後退させません。
ビールは、野球でいったら先発投手でも、中継ぎ投手としてもいける。
家庭で気軽に楽しめるビールベースのカクテル
カクテルというと、バーテンダーのいる店で飲む印象が強いと思いますが、家庭でも気軽に楽しめるビールをベースにしたカクテルを紹介します。
「カンパリ・ビア」
カンパリを入れてからビールを満たす。きれいな色が出るので、ファショナブルなグラスが似合います。
「ブラック・ベルベット」
スタウト(イギリス産黒ビール)を入れ、シャンパンを注ぐ。順番を逆にしないで、なおかつかき混ぜない。
「レッド・アイ」
トマトジュースを同量のビールで割る。休日のランチに最適です。
「補足」
飲み残しのビール、捨てるのはもったいないと思ったことのある方は、飲み残しのビールをシチューやカレーなど、肉や魚を煮込むときの、かくし味にも使えます。
日本酒やワインを料理に使うのと同じように、ビールも調味料代わりにもなります。
食用以外なら、ビールでシャンプーすれば髪がしっとり柔らかくなる。プロ野球の優勝祝賀会では全身ビールを浴びてますよね。( ´艸`)
また、植木にやる水の代わりにビールをかけても、ビールの栄養分が肥料代わりに利用できます。
まとめ
とりあえずビールは、宴会をスムーズに乾杯できる慣用句。
繊細な泡や温度を最適にすれば、驚くほど美味しく飲める。
強いお酒を飲んだ合間のチェイサー、つなぎ役にもなれる。
ビールは、最初の1杯だけじゃなく、多種多様な飲みものかも。
それでは、また。