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ただ、受け入れたい。

こんばんは、アリス食堂です。

今週、私の息子の誕生日でした。

その日、友達から「ママ、11年目おめでとう」と言ってもらい、改めて息子と私の今を思ってみました。

今週は、そういう、お話です。


息子が生まれる日、私は一人でした。

それは、私がした選択でした。実家に帰省せず、一人で産むと。

前夜からお腹に違和感を感じて、一人コタツで体を温めていました。旦那は朝になると普通に仕事へと行ってしまった。多くは引き止めませんでした。

初めての出産に頼みの綱は産婦人科。少しづつ強くなる痛みに何度も電話し、昼前にやっと来院の許可がでるとタクシーを呼び、病院へ。


大きなお腹を抱えて苦しそうに乗り込む私でも、タクシーのドライバーさんは普通、というより面倒くさそうにもみえた。

病院での看護師さんの対応もなんだか冷たくみえる。何度も電話してしまったせいか・・。そう思って、「すみません」と何度も伝えた気がする。

通された病室の窓からはコンビニの駐車場が見えて、波のようにくる痛みに耐えている私には関係なく、世の中はのんびりと皆が暮らしている。


一人だという私を知って、会社の同僚のお友達が来てくれました。日頃から優しく気遣ってくれる方だったけど、その日は来なくて大丈夫ですと、本気で伝えたつもりでした。ただただ、気を遣ってしまうから。

数時間が過ぎ、やっとの破水。赤ちゃんが下に降りてこないので帝王切開に切り替わる。麻酔が効くまでの間も波のようにくる陣痛に診察台で身悶えていました。

お腹の感覚がなくなった事が確認されると、真上から沢山の強い光が私に当てられました。一気に緊張感が高まり、これまで感じた事のない恐怖で頭の中がパニック状態。


どうしよう、怖い。逃げ出したい。すると、その感情をかき消すように大きな泣き声が聞こえてきました。とてもとても大きい泣き声で、部屋中に響き渡り、ずっと泣いていました。そして、その泣き声が私の近くにやって来ました。

その泣き声の人は両脇を抱えられて私の前にやってきました。全体が赤黒くて、目と額に沢山のシワを寄せて、大きく口を開けて、必死に本当に必死に泣いていました。

私はその姿を見て「うわぁ」と自然と声がこぼれました。すると、その赤黒い人の表情は一気に緩みました。左目は閉じたまま。右目だけが開いている。

その開いている右目でジッと私を見ていました。

繋がっている。私とこの子は繋がっている。初めて誰かと繋がっていると感じた人でした。



息子は成長とともに顔が父親に似てきたらしいです。「お父さんに似てカッコよくなったね」と言われます。

どういう意味だ・・。まぁいいでしょう。

私は旦那に似ているとは思わない。私にも似ているとも思わないけれど、私は息子の顔が好きです。

目がキラキラしている。大好物の食べ物を大きい口を開けて食べるところが好き。


心は私に似ていると思っています。

最近、学校の備品を友達とフザケていて壊してしまったようでした。「僕が悪いと思ったから」と相手の子の名前を言わなかった。

クラスで話し合いになり、教頭先生に怒られ、担当の先生に謝りに行き、全部を一人で抱えてしまったようでした。

私には、その気持ちがよく分かります。だから、教えてくれた時、「大変だったね、よく頑張ったね」と抱きしめました。

息子はギュッと体を硬くし、震えるように泣きました。


息子が幼い頃、息子と私はよく近所に散歩に出かけました。ずっと手をつなぎ、よく歩きました。寒くても、暑くても、雨降りの日も。

それは、私の心がモヤモヤした時でした。子育てで一人ぼっちだと感じた時、心も体も頑なになってしまった時。

あの頃、私が息子を連れ出していたように思っていたけど、ほんとは息子が私を連れ出してくれていた。

「お母さん、外に出ようよ。楽しいよ」と。


息子の母になり、私は強くて優しい母になりたいと思った。頑なになってはいられない。寂しがってばかりはいられない。

あの時から11年がたち、あの頃より強さを身に着けた私に、なりたい母の目標がもう一つ増えました。

それは、息子の全てを受け入れる母でありたいと思っています。


自分自身を受け入れてくれる存在、それは何よりも、力となる。

その人のままを受け入れたい。それを愛するというのだと思っています。


最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
また来週、金曜の夜に。


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アリス食堂
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