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今年の『拝啓ボウイ様』に『SPECIAL MEMBERS』はいなかった。

今年も高崎で「拝啓ボウイ様」が開催されることを私が知ったのは9月のこと。BOOWYファン(多分)がXにリポストした開催&出演者募集のお知らせを目にした時であった。

「あれ?2日(土)じゃないんだ?でも3日(祝)であれば行けるかも」と、予定の調整を始め、「どうせなら超個人的BOOWYゆかりの(跡)地めぐり第2弾をやろうかな~」とか「ちょっと足を延ばして『やまだかまち美術館』に行ってもいいかも」とか「前回行ったパスタ屋の別メニューも食べてみたい」とか、うきうきと頭の中で当日のスケジュールを組み立てていった矢先。「SPECIAL MEMBERS」最重要の御一人であらせられるベーシスト西山史晃氏が、同日にご自身のお誕生日会バースデーライブ「西山史晃presentz Voyaking TOKYO 2024」を東京・下北沢で開催されることを知った。さらには「SPECIAL MEMBERS」の要たるギタリストの香川誠氏もそちらにご出演される、だと……?

ぷしゅう。 ← 期待の音がしぼむ音。

よくよく調べてみたら、11月3日に西山氏がライブを開催すること自体は、今年の2月には告知されていた模様。
「今年は最初からオファーがなかったのかなぁ?」と気落ちし、さらに「役所系後援イベントあるあるの初年度開催補助金大盤振る舞い!2年度大幅減額、3年度極少による経費節減でギャラが出せないから呼べないとかいうことはないよね……?」と邪推しつつも、「折角スケジュールも空けたし、初回も第2回も行ったことだし、相変わらずコピバンの楽しみ方はわからないままだけど、メモラビリア展でお宝グッズを拝見できるなら、行く価値はあるかもしれぬ」と気を取り直そうとしたところ。今年は「メモラビリア展」もない、と!?

代わりに「メモラビリア展」館長による「拝啓ボウイ様2024 トークルーム」があると言われましても……。
BOOWYの現役時代を知らないニワカな私としては、「語り合うべきBOOWYの思い出」などない。知らないことを調べるための資料は収集しても、BOOWYなら何から何まで収集するコレクターでもない。何よりも見ず知らずの人に話しかけようだなんて、人見知りな私には普通にハードルが高い。
多分頑張って話しかければきっと楽しいとは思う。だけど、BOOWY界隈では恐らく有名であろうコレクターのところには、入れ代わり立ち代わりお仲間やらお知り合いやらが訪れて盛り上がっていることだろう。そんな傍から見て内輪ノリな集団に余所者が突撃するのは、かなり勇気のいること。
さらに、後に発表された出演者を見たところ、どうやら今年の「拝啓ボウイ様」は布袋氏推しの気配がそこかしこに漂っている。まぁ、今年はCOMPLEXもあったし、元々高崎市は布袋氏推しの自治体ですしね。それはそれで仕方ない。
だがそうなると、私が高崎まで出かける理由が何一つない。いや、「パスタを食べる」という理由はあるけれど、そのためだけに行くのは流石にちょっと、ねぇ……。

ということで、誠に残念ながら、2024年の「拝啓ボウイ様」への来場は見送ることに相成りました。
とはいえ、折角空けたこのスケジュール、どうしたものかと悩んでいたら、「西山史晃presentz Voyaking TOKYO 2024」のスペシャルゲストにギタリストの本田毅氏が決定!!との報が。つまり、西山史晃氏、香川誠氏、本田毅氏の、氷室氏のサポートを務められたミュージシャン御三方が同じステージに揃い踏みされると。
よくよく出演者を見てみると、KNiFeとしてROGUEのドラマー深澤靖明氏も出演される。さらにセッション相手のヴォーカルは、ALLERGYやDe-LAXでもご活躍されていた宙也氏だ!ドラマーの梶原徹也氏って、元THE BLUE HEARTSでは……!!
え。なにこれ。こんな「SPECIAL MEMBERS」のセッションが見られるの?!チケット料金はなんと5,000円(前売料金)!マジで?!東京から高崎までの往復交通費(新幹線利用の場合)よりも全然安いやないかーい!!
しかもライブ会場での手売りやメールオーダーだけでなく、一般チケットサイトでも販売がある。一見さんの心理的ハードルを低くした優しい設定!
ならば、氷室氏やBOOWYの曲は演らなくても、ROGUE、PERSONZ、De-LAX、THE BLUE HEARTSと、BOOWYの後に続いたバンドのメンバー達が奏でる極上の音色を堪能しに行くのもまた一興。そんなわけで2024年の11月3日は「拝啓ボウイ様224」ではなく西山氏のお誕生日会「西山史晃presentz Voyaking TOKYO 2024」に行ってまいりました。

結論。
むっっっちゃ楽しかったぁ!!
宙也氏から「全員還暦超え」との紹介があったが、10代後半からライブハウスで手荒く揉まれ、小さなハコから大きなハコまで経験し、芸能界の荒波にも耐えて、その年まで現役ミュージシャンとして生き抜いてきた歴戦の猛者達はやはり違う。音楽の体幹が半端ない……!!
皆様バンド出身なだけあって、一夜限りのセッションといえども、ステージ上での押し引きも阿吽の呼吸で、魅せ方も十分に心得ていらっしゃる。(何もわからない素人のくせに偉そうに言ってすみません。)
何だこの安定感。スタジオリハ1回のみとか言ってなかったっけ?!

「歌謡曲はテレビサイズでギターソロみたいなのがないから休めなくて大変」と仰りつつも、60過ぎとは思えない暴れっぷり&屈強な歌声の宙也氏。なんとサービス精神が旺盛なことか!ずっと笑顔で楽しそうにパワフルなビートを刻み続ける梶原氏。「ギターの振り分けで美味しいところをすべて持って行った(香川氏談)」そうな、見た目も演奏もいつまでもきらきらしい本田氏。KNiFeの、そしてROGUEのグルーヴを作り出す深澤氏のドラム。KNiFeパートでは華麗なギターを聴かせ、セッションパートでは本田氏に花を持たせつつも、ここぞというときには存在感を主張する香川氏。小さなライブハウスから東京ドームまで、いつでもどんな時でも堅実かつ誠実に曲のボトムを支え続けている西山氏。
うん。やっぱり私は西山氏のベースが好きだな。
そして、西山氏&香川氏がステージに立つ姿を見て、「ライブハウスの天井に背がくっつきそう」というのはこういうことをいいうのかと実感。下手にジャンプでもしようものなら、本当に天井に頭をぶつけてしまうのではないだろうか。

文化の日に生まれた文化人、西山氏の誕生日に開催ということもあって、ハッピーバースデー&ケーキ登場の定番演出もあった。あのバースデーケーキは多分アンリ・シャルパンティエのいちごショート(ケーキフィルムのロゴ的に)。バンドを組む前からのご友人であらせられるそうな梶原氏がニッコニコでケーキを持って登場。ローソクを吹く前に吸うという、これまた定番のボケを挟んだりと、終始和やかで温かなステージだった。

演奏曲は、KNiFeパートは当然KNiFe楽曲。一番最初の曲は「眠りこむ前に」であった。この曲は氷室氏もカバーされた楽曲ではあるが、今回はオリジナルメンバーによるオリジナルの演奏。そこにあるのは「KNiFeのグルーヴ」。だから当然「私の頭の中の氷室京介」が歌い出すことはなかったけれど、逆にそれが良かった。
セッションパートは80年代の曲のカバーが中心。選曲は宙也氏とのこと。
演者も素晴らしいが、昔の、所謂「歌謡曲」が持つ曲自体の地力、底力にも感嘆した。
知らない曲もあったが、曲がしっかりしていて音がしっかりしていれば、そんなの些末事。なんという説得力。若さのままに限界を超えて突っ走れる勢いや無謀さはなくとも、自身の限界を識る男たちが、適度にMCを挟んでペース配分をしながら(笑)、セッションを楽しみつつ、確かな技量と経験に裏打ちされたプレイを惜しみなく披露していた。翌日には全員違う現場に向かうからこその、たった一夜限りの夢の競演。良い意味でライブハウスサイズ、というかこれはライブハウスだからこそのステージだったと思う。
いや~いいもの見せてもらいました。こんな感じならまた行きたい。

西山氏曰く「俺が11月3日にとってくれと言ったわけじゃない」そうだが、なんとな~く来年も11月3日にライブが設定されそうな予感がひしひしと。祝日だし、行く側としても誕生日か否かは動機付けの大きな要因にもなるし。
となると懸念されるのは、どちらも開催は確約されていないものの、来年の「拝啓ボウイ様」との日程かぶり。
毎年開催されるイベント系は、他のイベントとの兼ね合いで会場を抑えたりする関係やら準備の都合やらで、大抵「日付」固定か「週と曜日」固定。
「拝啓ボウイ様」は第1回と第2回が11月第1週の土曜日だった。だから今年も同じく11月第1週土曜日の11月2日にやるかと思いきや、案に相違して11月3日(祝)開催であった。来年以降も「拝啓ボウイ様」が開催されるとして、今年がたまたま何らかの事情で3日になったのか、今年以降は3日に日付固定して開催されるのか。それが非常に問題だ。(私にとって)

だってもしもその日のスケジュールの都合がついて、高崎で「SPECIAL MEMBERS」のいない「拝啓ボウイ様(メモラビリア展開催あり)」と「SPECIAL MEMBERS」のいる西山氏のバースデーライブ(都内)のどちらかしか選べないとなったら、一考の余地なく後者を選ぶと思うから。そのくらい今回のライブは楽しかった。
なので、来年は日程がバッティングしないことを祈りつつ。もしかぶってしまったら、遠くの地から「拝啓ボウイ様」の成功とご来場の皆様のご多幸をお祈りすることになると思います。

それにしても今回のことで、西山氏のSNSの過去の投稿を遡って読んでみたら、板橋のイベントとか香川氏とのトーク&ライブとか、なかなか面白そうなイベントに多数ご出演されていらっしゃる。
ついでにじぐろ京介氏のSNSもチェックしたら、香川氏との「酒のツマミになるLIVE」とか「すべらないライブ」とか、絶対楽しそうなイベントが盛りだくさん。
SNSは基本的にフォローしない主義(双方向コミュニケーションツールたるSNSの使い方を間違っている)なので、そういったイベント情報に疎く、後から知ることが多いけれど、今回の反省を踏まえてこれからはフォローして積極的に情報を入手すべきかしら。
もっとも、じぐろ氏の面白そうなイベントは軒並み高崎開催なんですがね。遠い……。でも案外こちらの方が「拝啓ボウイ様」よりも高崎へ行く動機付け要因になったりして(笑)。

何はともあれ、行った方々のレポを拝見する限り、今年の「拝啓ボウイ様」も、「SPECIAL MEMBERS」はいなくとも大いに盛り上がったようで何より。このまま「定番」のイベントに成長していただくことを願っています。


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