グランパと山切りパン、時々おふくろ
『 どうぞ‼︎ 』と白い紙袋を御土産に頂いた
そっと中を覗いたら
きつね色のきれいな手作りの山切りの食パン
テンションが上がりました
おふくろが山切り食パン🍞大好物なんです
おふくろの山切り食パン好きは
グランパこと明治生まれの祖父が
山切り食パンが大好物
完全なる遺伝子
私が小学生時代
おふくろは小さな喫茶店を経営してました
美味しさが評判の隣町のパン屋さんから
一斤取り寄せて作る
ホットサンド、サンドウィッチ、厚切りトーストが
大人気でした
脈々と流れる遺伝子
何を隠そう
別に隠してもいませんが
私もホットサンドやサンドウィッチなど
大好きなのです
そんな、おふくろですが
昨年秋に発病して生死を彷徨い
無事に生還しましたが喉の詰まりの関係で
パン類の固形物を食べる機会が少なくなりました
せっかくだからと
スーパーでいちばん上等なバターも添えて
おふくろに山切り食パン🍞を手渡すと
声が大きくなるほどテンション高く喜んで
“ 昨日、久しぶりに
あの隣町にあった食パンが食べたい‼︎
そう思っていたのよ!
先ずは仏壇に御供えして
お父さん(祖父)の大好物だから! ”
そう言いながらも
食器棚から喫茶店時代の名残りの品のいい
コーヒーカップを用意してそそくさに
山切り食パンを食べる準備をするおふくろ
祖父はきっと怒り出すであろう
秒殺な御供えTIME
嬉しそうに山切り食パンを切る
その姿が喫茶店のカウンターの立っていた頃と
重なった
発病する以前は時々見た光景だが
また再び
この光景に出逢えた
家族でパンを食べる時に
必ず祖父のパン好きのエピソードが
会話に登場する
かなりのおひさしぶりに
食パンを厚い食べるおふくろ
お裾分け感満載の私の分の食パンは
おふくろのものより
やや薄かった
定番の祖父の食パン好きエピソード
パンの耳はおふくろに食べさせ
白い部分だけ食べる
この話は毎回出てくる
今回、初耳の驚きのエピソード
祖父の食パンの食べ方である
生卵の黄身🥚や山羊のミルク🐐に
パンをすこし浸して
手で大きめにちぎり
白いところから豪快に食べる
当時は牛のミルクは無かったらしく
山羊のミルクだったらしい
さらに驚きのエピソード
1950年前後はパンの原料である
小麦が高価で品薄だったらしい
そこで祖父は仕事の傍ら趣味の一環で
自分がパンを食べたいために
小麦畑を作ってパン屋に
小麦を卸していたらしい。
我が祖父ながらスゴイ‼︎
変わり者で豪快だったとは聞いていたが
流石と言うか
やるなぁ‼︎のひと言に尽きる
そんなことを話ながら
この食パンは美味しい‼︎
もうすこしだけ食べよう。
と慎ましい口調とは裏腹に
一枚目より厚めにパンを切る
おふくろの姿を私は見逃さなかった
いつもは私からのお届け物を
「 こんなにたくさん食べれないから
すこしだけ貰うから、
残りは持って帰って食べなさい 」
そう口癖のようになっているおふくろ
今日は、その声は無かった
病気に打ち勝ち
ひさしぶり大好きな山切り食パンを
おかわりして食べるおふくろ
山切りパンが好きすぎて
「 原料が無いなら自分で作っちゃえ‼︎ 」
そんな祖父のエピソード
御土産に頂いた
きつね色のきれいな
一斤の山切りパンが導いた物語
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