ワタシノ足跡〜第五章 会社員から坊さんへの修行記〜
得度式を終えて
俗名の裕人(ひろと)
改め
僧名の雄真(ゆうしん)の時代が始まった
家庭裁判所に行き戸籍も
雄真に変えました
ちなみに、
一般の方の改名と違い
下記の条件がひとつでも
裁判所に認められれば僧侶は比較的に簡単に
改名が可能なのです
費用も3,000円も有ればお釣りがきます
そして、得度してからは東寺真言宗の末寺で
僧侶として勤めることになりました
自分の仕事は最初に師匠(住職)から言われたのは
師匠の随行(付き人)
師匠がお祓いや祈願や供養、地鎮祭などで
お出掛けの際に運転や祈願等に
用いる仏具等の準備やセッティングをします
それ以外の日は寺院内にて雑務を行います
お寺の世界では
仏像への供物を準備も庭掃除も
総称して作務(さむ)と言ったりします。
その作務の時に着るのが作務衣(さむえ)なんです
旅館とか和食屋さんのみなさんも作務衣を
着られている姿もよく見ますね
作務の中にもお坊さんの間で「掃除」の事を
「下座行(げざぎょう)」の別名もあります。
自分の中では仏像に供物を準備することや
祈願等の仏具を準備するなど仏事に関することを
作務、それ以外の清掃などは下座業と区分してました
私が修行したお寺は当初は野球場がふたりくらいの山を開拓した本堂がひとつ
本堂の前に20段程の石段、寺務所(事務所)はプレハブという建立ほやほやでした木を植え、ビリ砂利を敷き庭を庭石を置き枯山水を今から創るという状況でした。
在寺の一日のスケジュールは
6時 作務
仏像に供物を準備して供える(着衣は作務衣)
6時半〜8時 朝勤行(あさごんぎょう)
お経を唱える(着衣は如法衣(にょほうえ))
8時〜9時 下座業 主に石階や本堂の清掃
(着衣は作務衣)
9時〜10時半 下座業
(着衣は一般的な作業着&長靴)
庭木や苔を植えたりビリ砂利を敷いたり庭造りや
時には参道に石灯籠を組み立てたりします
10時半 作務 (着衣は作務衣)
師匠の午前の加持祈祷の受付・仏具準備・線香や蝋燭も祈祷用に替える
11時〜11時半 作務 (着衣は如法衣)
加持祈祷の補助
(祈祷を受ける方の体調変化が
あったりすることもあるので介助したり)
11時半〜12時 作務(着衣は作務衣)
加持祈祷の後片付け
12時〜13時 昼食 昼食後 お経の自主トレ
(着衣は作務衣)
13時〜13時半 下座業 午前の作業の続き(着衣は作業着)
13時半〜14時 作務(着衣は作務衣)
師匠の加持祈祷の受付・仏具準備・線香や蝋燭も
祈祷用に替える
14時〜14時半 作務 (着衣は如法衣)
加持祈祷の補助
14時半〜15時 作務 (着衣は作務衣)
加持祈祷の後片付け
15時〜16時半 下座業
(着衣は一般的な作業着&長靴)午後の続き
16時半〜17時 作務
(着衣は作務衣)本堂の掃除など
この時間に師匠が夕勤行(不定期)を始めると
寺務院さんから私に伝達があると
まぁ大変、
ダッシュで作業員スタイルから
如法衣に着替え僧侶に変身する
それも師匠より先に着替え着座して
待機しなくてはならない
(ちょっと、まだ着替えが
間に合いませんとかは言える世界では無いのです)
17時半 お勤め終了 帰宅後
写経などで自己修行したりサボったり。
(着衣は・・・)と書きましたが
作務衣→如法衣→ 一般的な作業着→作務衣→如法衣→作務衣→ 一般的な作業着
→作務衣と少なくてもこれだけのお着替えがあります
これが日常の内容ですが
毎月28日の※護摩供養や
青葉祭(弘法大師空海の生誕祭)や大祭(イベント)など
ある日など基本的に
勤行と作務や下座業(時間は調整)は
必ずしますので間に準備片付けが入るので
かなり多忙なのです。
師匠は加持祈祷の合間の時間は、
とても強烈なスピリチャルな力と法力をお持ちの方でしたので御参りに来られて
師匠に御相談事をする方がとても多くて
ほとんどの時間は御相談を受けていました。
御相談や祈祷を目的に来られる御参りの方と
以前、師匠に御相談や祈祷を受けた方が
ご自身で心や体調のメンテナンスや御願い事のために
参拝したり時には本堂の隅でお経を読まれる方も多数いらっしゃいました
御利益があったと毎朝来られる方も多かったです
下座業も師匠曰く功徳があるとの事で
私たちといっしょに作業を手伝ってくれる方も
多数おられました
お寺には2種類のタイプがあります
祈祷寺(きとうじ)または相談寺と呼ぶところもあります
そして回向寺(えこうじ)または供養寺と呼ぶところもあります
今現在は一般的には
このふたつの区分が参拝者さん側も寺院側も
曖昧になっているところも多いとおもいますが
生きている人のための祈祷寺もしくは相談寺
亡くなった方や先祖を供養する回向寺
もしくは供養寺と自分は区分してます。
自分の日常の勤めは作務・勤行・下座業が主でしたが
「御参りに来られる方から
世間話でもお悩みでも愚痴でも
話掛けられたら作業の手を止めてちゃんと向き合って
話を聞いてあげなさい
ひとは誰かに話しただけでスッキリしたり
自ら反省点や解決策を見出すこともあるのだから
それも
僧侶の勤めだ!」
と師匠に教え込まれてたので駐車場や参道で数時間に及び話を聴く事もありました
時には庭石を見に行ったり
庭木を購入や寄贈者さんに頂きに行ったり
枯山水造りの勉強の他の寺院や由緒ある庭園や
高級旅館の庭園に見学に行ったり
「 いろんなひとの多種なお困りごとと
向き合い、時には寄り添うために
多種多様の見聞と知識を拡げなさい」
年に数回は
日本国内の京都などの由緒あるお寺の見学や
中国やインド・カンボジア・タイなどの仏跡や寺院を
回ったり交流をしたりラスベガスや世界的エンターテイメントを
裏で支える清掃員さんの見学や
アメリカのマウントシャスタやヨセミテなど大自然の中で
修行する師匠のサポートしたりと
12カ国ぐらいを飛び回ることもありました。
そんな経験と体感で自分の世界観や価値観がどんどん変わって行きました
つづく、
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