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【小説】ちょい悪オヤジの生態1

まえがき

中年後期の勘違いしたままの自称、ちょい悪オヤジの生態をドラマ仕立てで書きました。

三枝勇人、三年後に定年を迎える中年後期のオヤジが繰り広げる勘違いしたままの生き様を書いています。何故か微笑ましく、時には勘違いも必要ではないか?と思わせる彼の日常。ゆっくり生きましょう。

本文

以前は色々あった、、、地位も人望もお金も勢いもあった。

今あるもの、、、勘違いしたままの変なプライドとポコッと出たお腹、それに栄光の記憶。

定年間際なのに、酔っ払うと自分を『オチャメなちょい悪オヤジで~す!』

ニコっ

傍)  笑

その男の名前は三枝勇人(さえぐさはやと)勘違いしたまま、3年後定年を迎えようとしている。

勇人の口癖、、、昔はモテた

決して言葉通りに受けとってはいけない。なぜなら、この言葉を得意とするオヤジ達は当然、今もモテると真剣に思っているからだ。

実際、勇人は今も、お肌のツヤをキープするためお肌のより良い環境を維持することを目的として毎週、六本木の男性専用エステに通っている。

そして、それは飲み会では定番のように会話に組み込まれている。

女子  『三枝さんって、肌がとても綺麗ですね』

勇人  キタキター!はい、予定通りだ。内心そう思いながらも相手には謙虚に『本当!ありがとう』と返事をする。

女子  『何かお手入れしてますか?』

勇人  『特に何もしてないよ』

傍)  おーい(笑)

しかし、勘違いオヤジ達は逞しい。このやり取りを何気ない会話としてスルーなど決してしない。彼らにとっては全てがチャンスなのだ。

勇人  『あっ、でも男女問わずお肌に無茶苦茶いいと医学的にも認められたある食材があるんだけど、君、知ってる?』

女子  『えーっ!何? 三枝さんも食べてるんですか?』

勘違いオヤジ達は知っているのです。女子はすべからく美肌に大きな関心があることを。

勇人  『知りたい?』

女子  『お願いします』

勇人  『どうしようかなぁ~♂』 

女子  『えぇ~、イ..ジ..ワ..ル..♀』

勇人は、満面の笑みを浮かべて

『みんなに内緒で、、、その食材をたくさん使った料理が得意なレストラン 一緒に行ってみるぅ~?♂♂♂』

女子  『本当!ですかぁ、嬉しいぃぃぃ♀』

傍)  (笑)(笑)(笑)マジですか?

決して、逃さない。会話の展開は緻密そのもの。

最後は女子からのお願いになってしまってる、、、

傍)  有り得ない(笑)(笑)(笑)

三枝は、惜しい!中年後期の代表みたいな男。この『惜しい!中年後期』にカテゴライズされる、自称、ちょい悪オヤジ達はどうも皆さん相当に元気な人が多い。

そして、女子が大好き、好き、好き。男であればみんな女子のことが好きなのでは???

では、表現を変えよう。女子のことが半端なく好き!そう、半端なく好きであり、その為には努力を惜しまない。

ぷるる、ぷるる♀、ぷるる♀♀ 勇人の内線が鳴った。ディスプレイに表示された発信者番号を見て、勇人は少し口元を緩めながら独り言、、、  

トランキーロ、あせんなよ、、、勇人は受話器を取った

女子  『三枝さん?』

勇人  『はい、三枝です。失礼ですが、そちら様のお名前を教えてください』

勇人は努力を惜しまない。飲み会の翌日、出社して最初にしたこと、、、は勿論?当然?、、、当たり前???飲み会で仲良くなった女子の内線番号チェックだ。そして、それを語呂合わせで記憶する。

ディスプレイに表示された内線番号は、775、、、そう

そして、勇人の独り言、トランキーロ、あせんなよ、菜々子!

この語呂合わせがこんなにもしっくりくることは今まで経験がなかった。

傍)  (笑)

勇人は当然? 勘違いする。しかも激しく、、、

Destiny...運命だぁあ。 とうとう出会ってしまった。ヤバいなぁ。

傍)  何が???(笑) たまたま語呂合わせがハマっただけじゃないの???(笑)(笑)(笑)

勇人  菜々子、、、ごめんな。。。

傍)  (笑)何が???

勇人はディスプレイに表示された775で電話をかけてきたのが誰なのかは、実は直ぐにわかっていた。それなのに何故『あなた様のお名前を教えてくたさい』と、言ったのか?

勿論、本人確認もある。しかし、その目的の大部分は菜々子の声色を確かめる為だった。

菜々子は言葉にはしなかったが、『私の声、忘れたの?』と、その声色から勇人は読み取った。

、、、

傍)  (笑)凄いな

勇人  『忘れてないよ!』

中年後期になると、発声するつもりがないにも関わらず、心で思ったことがつい、大きな音になって口から出てしまうことがよくあるのだ。

菜々子  『???』

勇人   汗、汗、汗

    『あ、いや、あや』

菜々子 『アヤ?私、下の名前は菜々子です』

勇人   汗、汗、冷や汗

    『あ、いや、この前の話、忘れてないよ、っていいたかったの』

菜々子 『そう、そのことでご連絡したんです。お肌に良いレストラン』

ちょい焦ったけど、菜々子のヤツ、俺に会いたいばっかりだな。。。 

傍)  はぁ?(笑) 興味あるのはお肌に良いレストランだよね!

菜々子 『お友達に話したら「是非行きたい」と言うのでお店だけ教えてもらおうと思いまして、、、』

三枝 『あっ、そうなんですか、、、良い店ですから行ってみてください』

その後、淡々とレストランの説明をして電話を置いた。

・・・

中年後期のオヤジたち、、、激しく勘違いするが、諦めも見込み薄の判断も素晴らしく良いという傾向がある。

傍)  はぁ~⤵⤵⤵

傍観者の私の方がなぜかブルー、そして、勇人に頑張れ!と言いたくなる。

勇人ぉー、頑張れ~。

しかし、私達の心配は実は全くの杞憂。三枝勇人が属するカテゴリーの中年後期のオヤジ達は『落ち込む』とか、『ブルー』とか、言葉は音としては知っているが、感情としては良く理解できていない。

落ち込む?そんな暇なし!ブルー? ブラックじゃなくて良かった!そう、まさにこんな感じなのだ。

生きる上で最も大切なこと、、、辛い経験や悲しい出来事の記憶を風化させること。。。

傍)  (笑)

勇人は記憶に留まるとかじゃなく、その手前!

菜々子??? 誰?あー、飲み会で隣りにいた女子だよね?

傍)  おーい!運命的な出会いじゃなかっの?

あとがき

かたの力抜けましたか?

◯もし少しでもリラックスできましたら「❤️スキ」お願いします


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