重松清『流星ワゴン』の感想(読書メーター)

 一雄もチュウさんも、そして橋本さんも、皆それぞれタイプは違えど最高の親父だと思った。
 あの時、一雄が自分のサイテーでサイアクな人生に絶望していなかったら、そして、同じタイミングで一雄の父であるチュウさんが危篤状態になっていなかったら。恐らく、橋本さん父子のオデッセイは二人を乗せることは無かっただろう。
 一雄は橋本さん父子のオデッセイに乗せてもらって、自分の人生の分かれ道や、息子である広樹の苦悩、疎遠になっていた父親の本当の思いに気付くことになる。
 また、チュウさんも、涙脆くて弱い所だらけの自分の本当の姿を、最期に息子に見せたかったのではないか。この本はテーマが身近だからこそ、とても共感できたし、心に響くものがあった。

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