地平を歩く獅子

埼玉の田舎の方に住む者です。趣味は読書、野鳥観察、散歩です。読書は平均的に月2~3冊程度読んでいます。埼玉西武ライオンズファンで、一番好きな選手は栗山巧選手です。好きな歌手は中島みゆきです。初心者な上に若輩者で機械音痴なので、色々とご教示頂きたく存じます。宜しくお願い致します。

地平を歩く獅子

埼玉の田舎の方に住む者です。趣味は読書、野鳥観察、散歩です。読書は平均的に月2~3冊程度読んでいます。埼玉西武ライオンズファンで、一番好きな選手は栗山巧選手です。好きな歌手は中島みゆきです。初心者な上に若輩者で機械音痴なので、色々とご教示頂きたく存じます。宜しくお願い致します。

最近の記事

「命は何のためにあるのか」~上橋菜穂子『夢の守り人』を読んで~

 本書は、上橋菜穂子先生の『守り人シリーズ』第三作目である。 【あらすじ】  あらゆる理由から、自分の人生に嫌気がさした人々が、〈花〉と呼ばれる夢の世界へ誘われて行って、そのまま夢から醒めなくなってしまう。主人公であるバルサの幼馴染であるタンダの姪カヤも、夢から醒めない一人であった。  心優しいタンダは、呪術の師匠であるトロガイの忠告を無視して、カヤを救うために、たった一人で〈花〉の世界へ行ってしまう。そして、突然目覚めたタンダは、人間には到底太刀打ちできない凶暴な化け物に変

    • 重松清『流星ワゴン』の感想(読書メーター)

       一雄もチュウさんも、そして橋本さんも、皆それぞれタイプは違えど最高の親父だと思った。  あの時、一雄が自分のサイテーでサイアクな人生に絶望していなかったら、そして、同じタイミングで一雄の父であるチュウさんが危篤状態になっていなかったら。恐らく、橋本さん父子のオデッセイは二人を乗せることは無かっただろう。  一雄は橋本さん父子のオデッセイに乗せてもらって、自分の人生の分かれ道や、息子である広樹の苦悩、疎遠になっていた父親の本当の思いに気付くことになる。  また、チュウさんも、

      • 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』の感想(読書メーター)

        『ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)』三上 延 息を吸うように本を読んでいないと気が済まない古書店主の篠川さんと、過去のトラウマから本が読めないが、聞き上手な店員の五浦くん。そんな対照的な2人が古書を巡って数々の謎を解き明かすお話。昨今はブックオフやアマゾンが台頭してきたことにより、古書の扱いや価値が変化してきたかもしれないが、どんな本にしたってそれを読んだことによって何とも感じなかった人は殆どいないと思うから、1円であろうが1

        • 村上春樹『海辺のカフカ(上)』の感想(読書メーター)

          『海辺のカフカ (上) (新潮文庫)』村上 春樹 再読。まだ上巻しか読んでいないが、私は村上氏はこの本を通じて、「反戦」を特に訴えたかったのではないかと推測した。その理由の一つとして、ジョニーウォーカーはナカタさんとの決闘の場面で「これは戦争なんだ」と言った。戦争においては、兵士は敵国の兵士ないしは一般人をも殺すのが仕事であり、それをためらっていると、今度は自分が殺されてしまう。ジョニーウォーカーが言っていたように、戦争は"人が人でなくなる"ものなのかもしれない。一方で、大島

          加藤諦三『自分に気づく心理学』感想(読書メーター)

          『自分に気づく心理学 幸せになれる人・なれない人 (PHP文庫)』加藤 諦三 幼い頃に甘えの欲求、愛情欲求が満たされなかった人々は、おおむね生き苦しさを抱えているが、問題はそれだけでなく、どうやって毎日を生きていけば良いのか分からなくなり、迷走することもある。私自身のこれまでの人生を振り返ってみても、自分の行動や言動に全く自信が持てなかったり、毎日の生活が綱渡りのように感じることがしばしばある。それはメンタルの病気のせいだと思っていたが、幼少期の欲求不満が関係していると知り、

          加藤諦三『自分に気づく心理学』感想(読書メーター)

          詩「時薬」

          共に語らい楽しかったあの日々は もう追憶の彼方へ行ってしまったね もう二度と戻らないと知りながら 君の心はまだ穴が開いたままだ でもこのまま凹んでる暇はないよ 時間は誰もが平等に 過ぎ去っていくものなんだ だからいつまでも落ち込んでるくらいなら 時間というものに心を委ねてみたらどうかな 時が過ぎるということは 気持ちを切り替える薬でもあるんだよ そして新しい何気ない日常から 小さな幸せを拾い集めて 心の穴を塞いでしまえばいいんだ それができた君はまた一つ 人生の階段を上がって

          映画 名探偵コナン『探偵たちの鎮魂歌』(2006)の感想

           本作品は、2006年に公開された大人気アニメ『名探偵コナン』の映画で、劇場版『名探偵コナン』10周年記念作品である。  そんな作品を、いつも通り庶民の味方のゲオで借りて視聴した。  作品の舞台は横浜で、みなとみらいの人気テーマパークにコナンと毛利小五郎、蘭、そして少年探偵団のみんながVIP待遇で招待された。  VIP待遇の人には、フリーパスと称して腕時計のようなものを渡され、必ず身に着けるようにと、案内人の目の前で装着させられる。そして、コナンと小五郎だけはVIP用のラウン

          映画 名探偵コナン『探偵たちの鎮魂歌』(2006)の感想

          詩「feel it」

          人生にエンドレスなんてない ハッピーエンドかバッドエンドか 今際の際にどう感じるのかは 結局は自分次第なのさ あなたは幸せな人ですねなんて そんなこと口が裂けても言えないよ 見えないところや知らないところで 悲しみや苦しみに耐えてきたこと 分かってくれる人は必ずいるから 悲劇のヒロイン演じている人なんかより 前向きに生きるあなたの方が 何倍も美しいよ 人生にエンドレスなんてない この先の人生どう感じるかは 結局は自分次第なのさ

          詩「青春の終わり」

          楽しく笑い合ったり愚痴を言い合った あの束の間の日々も今は夢の中 別れは一瞬だとよく言うけれど これも生きていくための定めなのだ 皆それぞれの道を進んでいくよ その度に出会いと別れを繰り返す それが大人になるための一歩なのさ あの束の間の日々も今は夢の中 今日僕の青春はまた一つ終わったよ これも生きていくための定めなのだ

          詩「青春の終わり」

          堀辰雄『風立ちぬ・美しい村』

           この本には「風立ちぬ」と「美しい村」という二つの作品が収録されているが、決して別物ではなく、「美しい村」から「風立ちぬ」へ続く、二作合わせて一つの物語となっている。 読むに至った経緯  昨年末にジブリ映画の「風立ちぬ」を鑑賞し、その映画の元となった堀辰雄の『風立ちぬ』に興味を抱いた為、読んでみることにした。 美しい村  この本を読み始めてまず感じたことは、風景描写がとても美しく、克明に描かれていることである。山や植物などの自然物だけでなく、建物の佇まいや村人の仕草に至るまで

          堀辰雄『風立ちぬ・美しい村』

          伊坂幸太郎『重力ピエロ』を読んで

           兄は泉水、弟は春、優しい父、美しい母。その一見幸せそうな家族には、辛くて重い過去があった。  やがて大人になった兄弟はそれぞれの道を歩み始める。泉水は遺伝子情報を扱う会社に勤務し、春は定職には就いていないが、グラフィティアートを消す仕事を任されている。  ところがある日、仙台市内で連続放火と、火事を予見するような謎の文字が書かれたグラフィティアートが頻発する。 【主なテーマ】 ・家族が抱える辛い過去とは何なのか? ・何故泉水は遺伝子情報を扱う仕事に就いたのか? ・放火事件と

          伊坂幸太郎『重力ピエロ』を読んで

          半藤一利『日本のいちばん長い日』

           8月6日に広島、同9日に長崎へ原子爆弾が投下された。投下前の御前会議では、降伏か戦争継続かで意見が紛糾していたが、それ以降はおおむね無条件降伏という形で議論がまとまった。なぜまとまったのかといえば、昭和天皇による直々の御聖断があったからである。  一億玉砕を訴える青年将校らは、阿南陸相のもとへ行き、説得を試みるも、陸相は御聖断には逆らえないとして、説得を退けた。 【各青年将校の主張】  井田中佐・・・全将校が自刃することによって、敗戦の責任を取る。  畑中中佐・・・降伏した

          半藤一利『日本のいちばん長い日』

          「5:5の法則」

           学生時代の恩師がかつて「5:5の法則」というものを話していた。「5:5の法則」とは、個人差はあるものの人間はおおよそ5割の人にプラスの印象を持たれ、残りの5割の人にはマイナスの印象を持たれる傾向があるというものだ。  それを聞いた当時の私は、どうがんばっても5割の人々からはマイナスイメージを持たれるのかと正直落胆したが、今の自分を俯瞰して見てみると、恩師の語っていたことはあながち間違っていなかったと思うのである。  これはあくまでも自分の実体験に基づいての主観であるが、人か

          『コロナ闘病記③』

           高熱を出している間はほとんど眠れなかった。眠れなかった期間は2日間だけであるが、持病の関係で他の人より多くの睡眠を必要としている私としては、その2日間は非常に辛かった。  3日目にはようやく熱が39度台から37度台にまで回復し、頭痛や倦怠感も徐々に減っていった。しかし、今度は生まれつき弱い気管支が痛くなり、咳が止まらなくなった。何日間か気管支の痛みと咳、更には呼吸をするのも苦しかった。  そんな時、病院で処方されたカロナールや咳止めがとても重宝した。それらを決められた分

          『コロナ闘病記③』

          『コロナ闘病記②』

           抗原検査は案の定陽性だった。看護師の方から電話越しで告げられたが、特に動揺することも無くすんなりと受け入れられた。前日の夜の段階で腹を括ったからだろう。人間は覚悟が決まれば恐怖心が多少減るのかもしれない。例えば、昔の戦国武将や侍たちも、戦の際にはこうして覚悟を決めていたのだろう。ただ、病人が車という狭い空間で何時間も待たなければならないのは正直苦痛であった。  家に帰ってから少しして、熱が39.7度まで上昇した。その時の症状は、頭を鈍器で繰り返し殴られているような感覚の頭痛

          『コロナ闘病記②』

          『コロナ闘病記①』

           2022年2月28日のことだった。私は気分転換でよく訪れる隣町の自然公園を歩いていた。その公園では珍しい野鳥が観察出来るのだが、そこはあまりにも無名なのか、来客はときどきいる程度だ。私個人としては野鳥が好きなのと、そもそも人がいないからそこではコロナのリスクは無いに等しいため、毎週のように通っていた。  そんなルーティン化した散歩だが、この日だけは足取りが重かった。普段は2㎞~3㎞近く歩けるのに、500mくらいしかないクヌギ並木を歩いただけで、ものすごく疲れてしまった。おま

          『コロナ闘病記①』