明治さんへ。夕暮れと120cmのグミ。

 生産…終了…?
 2019年だったかと思うが、愛してやまない「ひもQ」の生産が終了した。ひもQは言わずもがな、ひも状のグミ。120cmのグミ。ソーダ味とコーラ味が定番だ。(確かマスカット&グレープ味のものもあったと思う。)
 
 それを食べるときはいつも決まってすすった。どの麺類よりもすすりにくくてうまく口に入ってこないのだが、その感覚って多分その時にしかなかった。だってもうないもん。

 スーパーで見るたびに「あ、ひもQだ。」って思った。愛してやまなかったが、別に大好きだからって見つける度に食べたいかと言われればそうでもなかった。

 じゃあ「愛してやまない」って言えねえじゃねえか!と言われても・・・いえ、お待ちください。味だけじゃないんですよ、愛してんのは。正反対の赤と青であしらわれたそのグミの境目はいつ見ても綺麗だった。それを眺めては、どこがちょーーーーど色の変わるとこなんだろうと思った。と同時に、なんかもっとはっきり境目がスパッとわかっててもいいなとか思った。

 コロナ禍になった。生産終了してから少し経った。急性白血病かもしれないって言われた。(結果として違う病気で、かつ完治しています!)割と絶望、というか希望は毎日食べている朝のパンが美味しく焼けるかどうかだけで、それ以外はあんまなかった。当時学生だったので、パソコン見て、スマホ見て、ご飯食べて、スマホ見て、ベランダで洗濯干して、スマホ見て。そんな感じだった。ほんと。

 ひもQじゃん。洗濯ものが乾いてるかどうか、枕元で首を攣りかけながらベランダを見て思った。もちのもち、とち狂って洗濯物がグミに見えたんじゃない。夕暮れ。昼と夕方の境目がいつの間にか現れていて、オレンジと青、いや赤と青?の境目が懐かしかった。はっきりとは、すっぱりとは、わかれちゃいけんないんだ、この景色って。もう境目なんて探すのやめた。そっちの方が、曖昧だけどやっぱ綺麗。そして食べたい。もう一回。いつか。明治さん。お願いします。

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