見出し画像

映画人生の伏線 



 僕たちの高校の英語科教員のs先生(男性)は、中学生の頃、数学の勉強が難かしく、分からなくなってきていることで悩んでいた。さらに体の成長とともに漠然と不安な気持ちも増えてきた。
 中学時代のある時、s先生は映画教室で『刑事ジョン・ブック 目撃者』という映画を観た。アクション映画としても面白いが文明を拒否したアーミッシュの人々の暮らしが描かれており、それがとても興味深かったという。おそらくこれがs先生への映画好きへの第一歩だろう。さらに日本のアイドルの曲全般が好きだったらしい。今から考えれば当時1980年代くらいの抜去機は作曲者が優秀で、海外でもシティポップとして再評価されているほどで、とても感慨深い気持ちになったらしい。
 
 そんなs先生は現在先代の校長から受け継いで映画研究部の顧問なのだが、映画好きになったきっかけを聞くと実は大学時代からだという。
大学で英文学を専攻している時、高校までは勉強や部活で忙しくあまり余裕がなかったのだそうだが、大学で余裕ができたことがきっかけで色々な本を読んだり、映画を見るようになってからハマったらしい。

 その頃は『緑の光線』や『自転車泥棒』などの映画が好きだったと挙げている。s先生は中学時代の自分にもし伝えられることがあるとしたら、あまり物事を深刻に考えすぎず、ポジティブになろうと伝えたいと語っていた。
話を聞いていて、s先生は中学時代にも今のs先生の姿への「伏線」が多く張られているなと気がついてニヤニヤしてしまうのだった。

いいなと思ったら応援しよう!