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静けさと不安の中で:二〇二〇年の春


静けさと不安の中で:二〇二〇年の春



二〇二〇年の春、世界は一変した。コロナウイルスの流行により、外出は規制され、学校は閉鎖され、僕たちはオンライン授業に切り替わった。当時中学二年生だった僕は、思春期の真っ只中で、自分の悩みや感情をうまく表現できずに悶々としていた。特に理由もないのにイライラし、その原因を探るのも億劫だった。

そんな僕を支えてくれたのが、ロック音楽と映画だった。幼少期から親の影響で音楽を聴いていたが、特に興味を持つことはなかった。映画も同様で、単なる娯楽として楽しむ程度だった。しかし、ある日、僕の人生を豊かにする出来事が起こった。兄がOasisの「Whatever」を流しているのが聞こえてきたのだ。兄が口笛でイントロ部分や歌詞を歌っているのを聞いて、僕も真剣にこの曲を聴いてみた。イントロ部分で心を掴まれ、最初の歌詞「I’m free to be whatever I」が胸に刺さった。この歌詞は「自由だ!お前は何だってできる」という意味で、悩みを抱えていた僕にとって大きな励ましとなった。

それ以来、Oasisに夢中になり、毎日彼らの曲を聴いた。気分が高まっている時は「Some Might Say」や「Don’t Look Back in Anger」を、悲しい時や励まされたい時は「Stop Crying Your Heart Out」や「Don’t Go Away」を聴いていた。Oasisから派生してThe Stone Roses、Blur、Arctic Monkeys、Pulpなども聴くようになり、ロックの世界に没頭していった。


ロックの影響と新たな発見



Oasisのノエル・ギャラガーが「Live Forever」を作った背景には、当時のロックシーンを席巻していたNirvanaへの反発があった。Nirvanaの暗い歌詞に対して、ノエルは「永遠に生きる」というポジティブなメッセージを込めた曲を書いたのだ。このような大胆な発言や行動に憧れ、僕もいつか自分の意見を堂々と言えるようになりたいと思った。

Blurの「Girls & Boys」や「Country House」もよく聴いた。デーモン・アルバーンのビジュアルやファッションセンスに憧れ、大人びた彼らの振る舞いに魅了された。いずれはOasisのマインドを持ちながら、Blurのような大人になりたいと思った。


Green Dayの90年代のパンクロックも僕に強い影響を与えた。彼らのハイテンポな曲は悩んでいる中高生の心を奮い立たせ、踊らせてくれた。特に「Dookie」というアルバムの中に収録されている「Basket Case」は、気分を上げたい時にぴったりの曲だった。もちろん「Basket Case」や「Minority」も好きだが、僕にとって一番支えられた曲は「Good Riddance」だった。「Good Riddance(厄介払い)」というタイトルには、別れの曲としての意味が込められている。この曲の歌詞「It’s something unpredictable, but in the end it’s right」は、「人生は予測できないが、最後にはきっと良くなる」という前向きなメッセージを僕に届けてくれた。悩んでいる僕にとって、Oasisの背中を押すような強さとは異なる、Green Dayの優しさが心に響いた。



映画との深い関わり



同時期に映画「フォレスト・ガンプ」と「Stand by Me」を観た。「フォレスト・ガンプ」では、主人公の正直さと親切さに感銘を受け、彼のように純粋で正直な人になりたいと思った。元々、フォレスト・ガンプ役はトム・ハンクスではなくジョン・トラボルタが演じる予定だったそうだが、僕はトム・ハンクスの演技だからこそこの映画に感動したのだと思う。「Stand by Me」では、主人公たちの友情や成長が、自分の思春期の心情と重なった。ラグビー部に所属していた僕は、仲間の大切さを再認識し、友情の力に勇気づけられた。この映画は、特殊な中学生時代を過ごした僕にとって、心の扉を開いてくれる素敵な作品だった。

「フォレスト・ガンプ」では、主人公のフォレストが様々な困難を乗り越えながらも、常に正直で親切な心を持ち続ける姿に感動した。彼のように純粋で正直な人になりたいと思ったが、現実にはそれがどれほど難しいかも痛感した。ジョン・トラボルタがフォレスト役を演じていたらどうなっていただろうと考えることもあるが、やはりトム・ハンクスの演技があってこその感動だったと思う。

「Stand by Me」では、四人の少年たちが友情と冒険を通じて成長する姿が、自分の思春期の心情と重なった。彼らの友情の絆を見て、仲間の大切さに改めて気付かされた。ラグビー部に所属していた僕は、仲間との絆を深めることで自分を支えてもらっていたことに気付いた。この映画は、心の扉を開き、仲間の大切さを再確認させてくれる貴重な作品だった。




サブカルチャーの力と影響



これらの経験を通じて、僕は音楽や映画が思春期の心のモヤモヤを晴らし、心をほっこりさせてくれる存在だと感じた。誰もが思春期に悩みを抱え、言葉にできないことがあるだろう。しかし、ロックや映画といったサブカルチャーは、その気持ちを言語化し、励まし、背中を押してくれる大切なものだと僕は思う。ロック音楽の力強いメッセージや、映画の感動的なストーリーが、僕の心を支え、前に進む力を与えてくれた。

ロック音楽と映画は、僕の思春期の苦悩を解消し、心の拠り所となってくれた。音楽の力強いメロディや歌詞、映画の感動的なストーリーが、僕の心を癒し、前向きな気持ちにさせてくれた。これからも、音楽や映画を通じて、自分の感情を表現し、人生を豊かにしていきたいと思う。ロックや映画と共に歩んだ日々が、僕の心を強くし、未来への希望を与えてくれた。


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