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3度目のカマキリ。、

私が中学生の時の話です。

夏の暑い朝7時半頃、いつも通り学校に向かうための通学路を歩いていました。

学校に近づくにつれ、どんどん自分と同じ制服の学生が増えていく道に入った時、”とある箇所”を避けて生徒たちが歩く様子が見えました。

その道はよく散歩コースにもなるので、犬のうんこか何かが落ちていてそれを生徒たちが避けながら歩いてるんだろうと私は思ったんです。

そして私がその”とある箇所”まで着いた時、ヤツと目が合いました。

カマキリでした。
それも臨戦態勢でカマを振り上げた威嚇スタイルのカマキリでした。

なんだ・・・カマキリか・・・と腑に落ちた私は、授業開始まで時間があったので3分ほどそいつを観察するためにその場にしゃがみ込みました。

今までカマキリなんてどうぶつの森ぐらいでしか見たことがなかったので、興味津々で眺めていましたが「意外とかわいい顔だな」ぐらいしか感想が出ませんでした。

ただ、彼は私が近づいても臨戦態勢のポーズを強めることもなく、じっと一点を見つめているので私はその姿に恐怖を覚えそそくさと学校に向かいました。

夕方になり下校時間になったので、私は朝と同じ通学路で帰ろうとしたのですが、やはり”とある箇所”を避けて生徒たちが道を通っていきます。

近寄ってみると、まだあのカマキリがいたのです。

朝の7時半から、部活が終わる18時ぐらいまでこのカマキリは同じ場所にとどまり続けていたようで、彼はやはりポーズを変えることなく何かを威嚇し続けていました。

いや、単純にこんな小さい生き物が1日中誰に踏まれることなく生きながらえたこともすごいし関心していたのですが、やはりずっと同じ場所で、しかも同じ臨戦態勢で”いったい何に威嚇しているのか??”と不思議に思いました。

通学路なので前から迫りくる学生を向かい受け続けていたのでしょうか。(想像するとおもろい)

ただ、もうほとんどカマキリに興味がなくなっていた私はそのまま家路につきました。

翌朝、その日も暑く足早に学校に向かうと見覚えのある顔に再会したのです。

カマキリでした。
こいつまだ同じ場所にいたんです。

そいつの異常性にビビった私は学校から帰り父に
”動かずずっと威嚇しているカマキリがいる”と報告。

すると父は、

「それ、死んでるよ。」

そう父は当たり前かのように答えました。

私はずっと死んだカマキリを見ていたのか。だとしたらいつ死んでいたんだ?なぜ臨戦態勢で・・・?いろんな疑問が頭をよぎりましたが、私はただただカマキリが死んでいる道を明日も通らないといけないという嫌悪感にかられ変な汗が出続けたことを今でも覚えています。

次の日の朝、あのカマキリはぺしゃんこに潰れていました。

たぶん自転車が追い打ちをかけるかのように轢き殺し、その姿になったのでしょう。

このNoteを書くためにカマキリの主な死因について調べましたが、彼らは脱水で寿命を迎えることが多いそうです。

そういえば夏休み前だか後だかで蒸し暑かった時期でした。
近くの川も常に干上がっていたし、水分補給できなかったんですね。

うん、いやしかし脱水って、どんだけ生命力弱いんでしょう。そして臨戦ポーズで死んでいたなんてなんだか切ない話ですよね。

カマキリはその習性として、死ぬ前に何もない所に威嚇スタイルをとるということもあるらしいんですよね。

敵と戦うつもりでご自慢のカマを振り上げ、そこ瞬間こと切れたとんだと思っていましたが、自分が一番強い姿で絶命したかっただけで、最後までプライドが高い昆虫だなと思いました。

そしてその後私はその通学路を通る時、”あの箇所”を避けて通るようになりました。

さてなぜこの話を思い出し、書こうと思ったかというとカマキリ事件同様私の自宅近くで通りたくない道ができたからなんですよね。

理由は人が死んでいたから。

私は”近くの12階建てのマンションで飛び降り自殺があった”としか聞いてませんでしたし、詳しい現場がどこなのか曖昧でした。

ある日友人と散歩しているときに、いつも通らない道があったので「ここ行ってみようよ」と友人に提案。
しかし友人は「そこは飛び降り自殺の現場だから…」と怪訝な顔をし、私はやっとその現場がどこなのかを知りました。

そこは川沿いで道も綺麗に舗装されていたし、朝方には通勤の人や自転車、犬の散歩をする人がいる道です。
ですがその話を聞いた途端、なんか嫌な感じがして、そこを踏んだら祟られる気もして、もう二度と通ることはない道になってしまいました。

”自殺現場”と聞かなければ全然気にせず通っていたはずなのに。

カマキリの一件もそうですが、公共の道路って”知らなきゃよかった”ってことが多すぎるんですよ。

事故物件は調べて住まなきゃいい話ですが、通学路や通勤中の道すがらは通らざる負えない。

駅のホームに吐しゃ物が落ちている場合も一緒で、次の日その場所は駅員さんが綺麗に掃除してくれているにも関わらず、なんだか通りたくないというか嫌ーな気持ちがしますよね。

実は私、直近で引っ越しを考えている状態なのですが、もしかしたら次の町のどこかの道で人が死んだ過去があるかもしれないし、なんなら私が知らないだけで既にそのような場所を通ったことがあるのかもしれません。

そういえば最近駅に行く道すがらにカニが死んでいました。

そこは川沿いで、でも道の真ん中ではなく、端っこでひっそりと死んでいました。

そしてサワガニのはずがなぜかヤツの甲羅は赤く、茹った状態死んでいました。

やっぱり夏だから日差しが強くて、脱水症状で死んだんですかね。

まだまだ暑い時期が続きます。

みなさんもぶっ倒れて道で死なないように、適宜水分は取ってくださいね。

我々人間もカマキリのように生命力が弱いくせにプライドが高いですが、粋なポーズをとって死ぬことなんてできませんから。

ご自愛ください。

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