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入社1年目のときの上司から言われた言葉

私は現在新卒で入社した会社で働いて4年目になる。

入社した時は同年代の先輩が輝いて見えたのに、いざ自分がその立場になると、まだまだ未熟で落ち込む日々。

2020年の春,入社と同時に緊急事態宣言が出され、とりあえず自宅でPCを開いて始業報告をして、誰とも話さずただぼーっとする日々が続いた。
やっと少しずつ出社できるようになってきたあたりで私の指導員としてついてくれたのが、Aさんという35歳の男性だった。

Aさんは前職が営業だったこともあり、社内外問わず人付き合いがうまく、お喋りが得意で、とにかくレスが早く、なのに仕事は正確で丁寧な、言わばめちゃめちゃデキる人だった。

そんなAさんのもとに配属されて数ヶ月、「詰めが厳しくて怖い上司」と噂の部長に対して、社内レクをすることになった。

いつもAさんの流暢な説明を横で聞いているだけだったので、ふーん社内にはそんな人もいるんだな、ぐらいに他人事に捉えてたら、「いい機会だから説明してみたら?」とさらっと言われた。

無理です!!!
という強めの抗議も叶わず、レク資料を入念に見直し、説明の予行演習もして、いざ説明しに行く、というタイミングでそわそわ落ち着かない私を見かねたAさんが、

そんな緊張せんでもいいよ。大丈夫、なんか言われたら俺が守るから」

と言ってくれた。

そのときは目の前のレクでいっぱいいっぱいだったけど、それが無事終わってトイレに入った際に、
「あんな少女漫画でしか聞くことのない言葉を、直属の上司から言われることなんてあるか????」と冷静になった頭で考えた気がする。

このご時世、若干ハラスメントの類に分類されなくもない発言(?)ではあるものの、今振り返ると、上司の、部下である私に対する接し方を表すなら、まさにあの一言に尽きると思う。

Aさんはミスや失敗を恐れがちな私に対して、「失敗してもいいから思ったようにやってみな」とよく言っていた。「なんかやらかしたら俺が上の人に謝りゃいいんだから」と、あっけらかんとして好きなようにやらせてくれた。

そうはいっても1年目。社内のお作法も、然るべき担当者も、参考にする資料がどこにあるのかもわからない。

そんな私が恐る恐る1聞くと嫌な顔せず10を教えてくれたし、自分のやるべき仕事をやりながら、目と耳を半分ずつ常にこちらにやって気にかけてくれていた。どんな状況であっても、私が話しかけやすいよう、とにかく報連相をしやすい環境を作りながら、ポンコツ新人がやることなすこと見守って(見張って?)くれていたなと思う。


「何かあった時に責任を取る」というのが上司の理想像として語られがちだけど、心配性で自己主張が弱い私にとっては「常に気にかけてくれている、見守ってくれている」というのは、すごくありがたかった。(入って一年そこらの新人なんて、まず責任伴う仕事とか自分で判断する仕事なんてまずないし)
多分Aさんも私のそういう性格を見抜いてそんな教育方針にしていたんだろう。

今になって思えば、私が帰ったあとに自分の仕事をこなすしかなかったただろうし、私の拙すぎる説明を相手の人にどこかで補足してくれていただろうし、私の知らないところでめちゃくちゃ尻拭いしてくれていたと思う。一言もそんなこと言わなかったけど。

当時もすごいなあとは思っていたが、年次を重ね、会社の仕組みや社内政治的なことをぼんやりわかってきた今だからこそ、上司の苦労は相当だっただろうと分かり、余計に尊敬の念が増した。

本当に今思うのは、社会人になりたてのタイミングで、この上司のもとで働けたのはすごく大きかったということ。
自分もいつかこんな大人になりたい、こんなふうに後輩に指導できるようになりたい、と思うきっかけになった。

まだ直接後輩を指導する立場になったことはないけど、いつかその時が来たら、上司から受けた恩をそのまま後輩ちゃんに渡してあげられるような、そんな素敵な上司になっていたい。

そのためにはまず、目と耳を半分違うことにやっていても仕事をこなせる力をつけるのが先かな…

就職後上京して初めて登った六本木ヒルズの展望台。
東京の街ってすごい。


ちなみに、上司のことを慕いすぎるあまり、お互いに異動した今でも定期的に飲みに行っては、その度にプライベートの様々な相談をしている。なんかもう歳上の友達ぐらいの感覚で信頼している存在かもしれない。Aさん、ありがとうございます。

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