2023年じゃみ私的5枚+1枚のアルバム
はじめに
どうも、じゃみです。今年も様々なアルバムがありましたね。実は結構前半で、今年はコレだなって作品が固まっていたのですが、後半で思わぬ作品が舞い込んできたので今回は5枚+1枚でご紹介します。それではどうぞ!
5.Donna Candy - Blooming 82/100 点
フランスを拠点に活動するギターレスハードコア+ポストパンクの若手3ピースバンド。ギターレス?と思うかもしれないが、以外や以外、ボーカルが自身の声にディストーションや空間系のエフェクトを掛けシャウトすることで、ギターサンド顔負けのハードなサウンドを鳴らしているのである。かなりスリリングな音像で、ときにベースが歪む瞬間はまるでLightning BoltやBorisのようでもある。そしてボーカルがボーカルを歪ませシャウトするさまはときにデンジャーミュージックの片鱗も感じさせる。ライブ映像も上がっており、コレまたスリリングなので、この界隈が好きなリスナーはそちらもチェックである。
4.23wa - RORSCHACH 88/100 点
こちらもフランスの出身の若手ラッパー。そしてなんと23年の今年来日しているのである。それはさておき、アルバムの内容だが、はじめ近年のカニエのような、ストリングスからのエモーショナルなボーカルで始まったかと思えば、時に滑らかで時に激情的なフランス語のフロウに合わせIDMビートとサンプリング、グリッチ、ノイズサウンドが降りかかり、まるで電子ドラックサウンドが鳴る箱の中で23waのラップを聴かされているような感覚になるのである。昨年レビューしたQuadecaに続き、昨今の若手ミュージシャンの才能やアイデアは本当に末恐ろしい。
3.Panda Rosa -
Burned Car Highway Light Volcanic 92/100 点
まず驚くべき点として、若干23歳のオーストラリアのミュージシャンによって2時間を超える本作は作られているのである。目まぐるしく続く音の波はもはや音の洪水で、まるで幻想郷のようなアンビエントサウンドをベースに時にドラムビート、時にクラシカルな音色、そして一体どこまでがサンプリングなのかわからない音の数々が、奇妙に重なり合い、壮大な彼のサイケデリックカオスの世界が構築されているのである。音楽の世界は広く、どこにどんな逸材が隠れているか分からない、そんなことを彼の作品を聴いて音の海に浸水し、そして心酔し思う。
2.坂本 龍一 - 12 96/100点
様々なミュージシャンが逝去する中、教授の損失は僕にとって特別大きなものだった、2005年、ピアノセルフカヴァーの"05"を聴いたとき教授のピアノ演奏の魅力の虜になり、それからは月一のJ-WaveのRadio Sakamotoも熱心に聞いていたりした。彼の携わった作品は数あれど、僕は彼の弾くピアノが大好きだ。本作は様々な捉え方のできる遺作だと思う、ある角度から見ればデモ集とも言えるし、またある角度から見れば消えゆく魂の灯火をスケッチした、自身による自身へのレクイエムとも捉えられる。しかしいくら考察しようとも、このアンビエンスで美しいシンセとピアノの旋律の集まりは、もう教授の居ない世界では明確な答えは見つからない。僕は少なくとも、このアルバムは、教授がはめ込んだ美しく、静寂に包まれた彼の芸術人生の最後のピースであると考える。
1.The Smashing Pumpkins - ATUM 100/100点
Shiny and Oh So Bright、CYRの二作を挟み、ついに完成したスマパン初の3枚組の本作。全2作でのアプローチが踏襲されているかと思いきや、本作は更にその先を行っている。ビリーの駆使するシンセサウンドはよりバンドサウンドとバランスよく絡み合い、演奏アプローチもより豊かで、ポップさを保ちつつも、時にスペーシーだったり、プログレッシブだったり、ヘヴィメタルであったり等、様々な要素が不思議なほど上手く噛み合った色とりどりな楽曲群が、最後まで飽きずに続く文字通りの大作である。特にロックアプローチの強い楽曲がプログレッシブ感が強く、ジェームズのギターもどこかクラシカルな演奏アプローチが特徴的。それとは逆にシンセを主軸とした楽曲は前作よりも更に洗練され。バックコーラスとの歌の絡みのも良い。余談だがバックコーラスの一人に、前作から元最初期ブラック・アイド・ピーズの女性メンバーが参加している。前2作からのことであるが、ビリーの歌唱におけるメロディ感も、今作も冴えており、とにかくスッと入り込める捻くれのないポップネスな歌メロを堪能することができる。前33曲というとてつもないボリュームにあるのにも関わらず、ここまで各楽曲の水準が高く保たれているのは、過去作品と比較しても類がなく、ただただ驚くばかりである。本作をシンプルに僕が表現するならプログレッシブロック&プログレッシブポップ。正直な話、90年代、00年代の粗さやダークさ、感傷的なスマパンの要素が好みなリスナー、ファンからすれば明るくトゲのない作品で、本作に物足らなく、単に長いだけのアルバムと称するのは、もちろん僕も理解できる、しかし10数年スマパンの作品を追ってきた僕からすれば、各メンバー、ビリーが様々な経験を経て、希望や、明るさ、力強つよさ、壮大さが一体となったバンドの進化と到達点をこれほどまでに感ぜられる作品はそうないと感じる、逆に30年以上続くバンドが現在これだけの高いポテンシャル状態にあるのは、ファンとしてたいへん喜ばしいことであり。ぜひまた、なんとか来日を実現して、あわよくば直帰の楽曲をふんだんにプレイしてほしいと切望するばかりである。
番外.Ed Motta - Behind the Tea Chronicles 100/100点
無事2023年AOR部門優勝です。ありがとうございます。流石はブラジルのドナルドフェイゲン。もといブラジルの冨田ラボなんて称しても差し支えない。本作のクオリティは凄い。およそ6年。待った甲斐があった。 基本的には良質Steely Dan Likes AORの連続なのだけど、時にPugwashが書きそうなワルツのようなポップスや、ダリルホールが書きそうなフォークソング、ラストは壮大なピアノバラードと、満腹になり過ぎない楽曲バランスの工夫もあり、間違いなくキャリアの最高傑作を更新した作品。
おわりに
いかがでしたか?これがじゃみの2023年の5枚+1枚です。今後は邦楽も、もっと聴くよう注力する予定です。来年も良い音楽に出会えますように。
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