どうぶつさんと葉っぱと 息子の素敵なところと
息子が2歳の時、毎日のように家の近所の公園に遊びに行った。
あるとき、公園の木の下を眺めて、動かなくなったので、息子にどうしたの?と聞いたら、
「どうぶつさんがいるねぇ」
とじーっと見ていた。
その日は平日。わたしは、目が見えにくいので、平日はヘルパーさんと公園に行ったりもしていたので、一緒にいたヘルパーさんに息子が見ているものはなにか聞いてみた。
ヘルパーさんが確認しても、どうぶつさんらしきものは何もいなかったそうだ。アリもなにも。
2歳の息子には、いったいなにが見えたのだろう?なんだか、トトロを思い出して、わくわくした。
どうぶつさんは、公園に行くたびに、息子はいると言っていた。
きっと、大人には見えない小さな何かが通り抜けたのかもしれないな。
またあるときは、息子が葉っぱを2枚持って、両手で一枚ずつ地面に落としていた。
真剣な顔で、落としては拾い、落としては拾い、何度も同じことを繰り返している。
「なにしているの?」
と聞くと、
「う~ん、こっちの葉っぱとこっちの葉っぱ。おちるのちがうね?」
2歳児が葉っぱの落ちる速度を比べていたのだ。超真剣な顔で。
こんなにちっちゃな子でも、色々考えているんだな、と感動したことを覚えている。
***
でも、魔の2歳児。のんびり流れる時間のなかに、悩む場面もたくさんあった。
のんびりほのぼのしていた場面と、暴れん坊と毎日必死に向き合う場面。どちらも、このころを思い出すと頭によぎる。
幼稚園に入ってからも、行き帰りの送り迎えに、イヤイヤが発動して苦労がすごかった。
そんなとき。
幼稚園の先生が言ってくれたことばが、すごく嬉しかった。
やんちゃで元気いっぱいで、日々子育てって大変だなぁと思っていたときに、息子のことをこんな風に褒めてくださった先生。
ココロが救われて、ホッとした。
どうぶつさんにあいさつしていた息子。
ちっちゃいのに、葉っぱをひらひら落として真剣な顔で見ていた息子。
暴れん坊な息子。
もしかしたら、少しずつ記憶が薄くなってしまうかもしれない。
あのとき、大変すぎて、日記を書くこともできなかった。
だから、わたしはいま、思い出して、エッセイにする。
どの息子との時間も、一生忘れたくない。
どんなときも、先生が見つけてくれたように、素敵なところを探しながら、大きくなってゆく息子を見守り続けたい。