好きなものは好きでいいの クラスで一人だけ【あずきちゃん】に1票入れた話
小学校3年生のころ、わたしはテレビアニメの【あずきちゃん】が大好きだった。
【あずきちゃん】は、ちょっとおませな小学校5年生の女の子の恋物語。
主人公の野山あずさは、みんなにあずきちゃんと呼ばれている、ごくごく普通の女の子。
ある日、転校生の小笠原勇之助くんというカッコいい男の子がクラスにやってきて、恋をするお話。
わたしは、このアニメが大好きだった。数年間毎回欠かさず観ていて、最初から最後まで観た。漫画も全部持っていた。
あまりに好きすぎて、【あずきちゃん】をみんなで観よう、というスペシャル番組に応募して、見事当選して、一番前で観たこともあった。
そのテレビ番組に出演が決まった時、テレビ局のおじさんに、
「誰が一番好きなの?」
と言われて、なぜかあずきちゃんっていうのは違う気がして、本当はあずきちゃんが一番好きなのに、あずきちゃんの友達のかおるちゃんって答えたことに深く後悔した記憶がある。
なぜ、一番好きなあずきちゃんって堂々と言えなかったのか…
なぜ、まぁまぁ好きだけど、あずきちゃんほどではないかおるちゃんと答えたのか…不思議な子ども心だった。
そして、一人一人あずきちゃんのイラストを描いて、持っているところが写し出された。
そのイラストはちゃんと一番好きなあずきちゃんを描いたから、「おじさんに本心伝わったかな?」となぜかここでもドキドキしていた。懐かしい思い出。
そんな大好きな【あずきちゃん】。
わたしのクラスではそこまで人気はなかった。
全国的には、数年アニメが続いていたくらいだし、そこそこ人気があったと思うのだけれど、クラスで好きだと言う人はほかにいなかった。
そんなある日、学級新聞係が好きなアニメをみんなに聞いて回っていた。
わたしは迷わず
「あずきちゃん!!」
と答えたのだが、気が強めのその子はポソっと
「ダサッ」
と言い放った😢
ショックというより、「なんで?あずきちゃん楽しいのに」と思っていた。
後日、学級新聞の好きなアニメの欄を見て、びっくりした。
1位 名探偵コナン 29票
2位 あずきちゃん 1票
こんな感じに、わたし以外が全員、名探偵コナンに票を入れていたのだ!
9歳のわたしはそう思った。
たしかに、わたしに質問していたときも、周りの子たちはみんなコナンをあげていた。
名探偵コナンは確かに面白い。わたしだって好きだった。
でも、わたし以外全員には驚いた。
わたしのこの部分は今でも変わっていない。
自分の好きなものを好きと堂々と胸を張って言いたい。
他の人が、一人だけ違うものを好きと言っても、自分が好きじゃないものを好きだとしても、否定したくない。
【あずきちゃん】は、まぎれもなく、小学校時代にわたしが大好きだった思い出のアニメなのだ。
息子にも、好きなものは堂々と恥ずかしがらず、好きでいてほしい。