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懐かしい手書きの教科書や児童書たち
視覚障害の弱視のわたしは、小学生の頃、教科書を全て大きく手書きしてもらった【拡大写本】という教科書を使っていた。
当時は、全てボランティアさんによる手書き。1年生から6年生まで、6年間手書きの拡大教科書を使って、見える友達と同じ教室で勉強していた。
1つの教科書が、わたしは何冊にもなる。1冊もとても分厚い。ランドセルに分厚い教科書を沢山入れて学校へ持って行っていった
ボランティアさんの中には、母もいた。母が、夜な夜な教科書を作っている姿をずっと見ていたので、1冊の拡大教科書を作ることがどれだけ大変か感じ取っていた。
拡大写本ボランティアさんたちは、文字の書き方からイラストの描き方まで、教科書や児童書の作り方まで丁寧に学んでくださって、とてもとても綺麗な本を作り上げていた。
教科書だけではなく、弱視の子どもが読書を楽しめるように、子ども自身がリクエストした本も手書きしてくださった。
その思い出の教科書。今回、わたしのある活動で必要な機会があり、実家で探してもらったら、時の流れを感じさせないくらい綺麗な状態で出てきた。
まだまだたくさんあるが、その一部をここに載せたい。
❶小学校2年生こくごの拡大教科書
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❷中学の英語の教科書
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❸ことわざおもしろ探偵団2 食べもののことわざ
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❹私子ネコがほしいの
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❺うそつきエミリー
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どれも本当に可愛くて綺麗。
教科書も、ことわざの本も、物語も、お料理の本も。どれも何度も詠んだ想い入れのある本たち。
ボランティアさんたちは、目が見える子どもと一緒に弱視の子どももしっかり学べるように、全ての子どもが困ることなく勉強できるようにと、ボランティアさんたちは書き続けてくださった。
そして、子どもたちに拡大教科書が行き届くように、母をはじめ尽力してくださった方々がたくさんいる。
そのおかげで、わたしは皆と一緒に勉強することができた。
拡大写本がなければ…わたしは勉強嫌い、読書嫌いになっていたかもしれない。わたしにとって、なくてはならない大切なものだった。
30数年経った令和の現代は、大活字の印刷された本がたくさん出版されるまでになった。それは、ずっと書き続けてくださったり、わたしたち弱視のために拡大写本の普及に向けて声をあげてくださった方々のおかげた。
大活字本が出版されるようになった今でも、手書きの本を書き続けてくださっているボランティアさんたちもいる。拡大写本ボランティアは、今も続いているのだ。
ぬくもりのある拡大写本を眺めていたら、
視覚障害の弱視児として学べてよかった!
こんな素敵な教科書や本を読めたわたしは、幸せ者だ!
確かにそう思って、嬉しくなってきた。
目が見えにくかったり、耳が聞こえにくいと、大変なこともたくさんあるけれど、わたしが出逢ってきた素敵なモノや人との出逢いを思い返したら、弱視として生きてきて良かった!わたしの人生の誇りだ!
そんな風に思えて、心があたたかくなった。
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