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私の本を一部公開したら何冊売れたか全部さらすnote

このnoteは、私が2017年11月に刊行した「グラフをつくる前に読む本」の棒グラフ編を全文無料公開した結果、本が何冊売れたのか、余すところなく記しています。

これから全文公開を考えている作家さんや編集者さんの、なんらかの気付きになれば幸いです。


本は何冊売れたのか?

noteを公開したのは、11月13日07時48分でした。

note内にamazonへ誘導するURLを張っていました。そのURL経由でどれくらいのクリック数が発生して、何件のCVが上がったのか見てみましょう。ちなみにデータ参照元はamazonアソシエイトの「売上レポート」項目です。

13日~19日の1週間で、書籍13冊+kindle11冊合わせて24冊でした。275クリックあったのでCVRは8.72%です。

編集者さんによると「書籍はamazonで35冊程度売れた」らしいので、実際にはnote内リンク以外からの購入があったと思われます。だからnote公開のインパクトは書籍+kindle合わせて50件ぐらいではないかと推察します。


ちなみに、Amazon売れ筋ランキング(2週間)では、「グラフをつくる前に読む本」は以下のように推移しています。11月13日に何れもランキング急上昇を示しました。

書籍版推移(10月21日~11月21日)

kindle版推移(10月21日~11月21日)

最後に、noteのダッシュボードから確認できるビュー数は以下の通りです。2018/11/13 - 2018/11/20で8,144ビュー数でした。

この数字がnoteの中でどれくらい良いのかは分からないのですが、個人的な記録で言うと、"最初の1週間"という初速の数字では第2位です。

第1位は、9月13日に公開した「統計所得問題」です。

2018/09/09 - 2018/09/16で12,339ビュー数でした。

ビュー数に対してスキ数は少ないので、その分だけ全文公開noteは読まれたという理解をしています。


反省点を振り返ってみる

私のnoteの書き振りが悪くて、思ったよりamazonリンクがクリックされていないのではないか。実際はもう少し売り上げ貢献できたのではないか。実際は100冊以上は売れるはずが思ったよりポンコツだったな。

そういう声が聞こえてきそうな結果でした。まったく私もそう思います。そこで次にバトンを繋ぐために「ここを気をつけろよ!」という気付きを残しておきます。

い:深津さんからのダメだし2点はとても参考になる

①リンク先を出版社にしても売れないので、Amazonにする。

経緯として、公開当初は頭とお尻にamazonリンクを挿入していましたが、すぐに編集者さんから「どちらかのURLを技評にして欲しい」という要望を頂いて、お尻のURLを変更しました。

頭とお尻はそのままにして「グラフをつくる前に読む本」という言葉に対してテキストリンクを貼れば良かったのか、3つ目のリンクを挿入すれば良かったのか、単純に要求を突っぱねれば良かったのか、色々と考えますね。

約8,000ビューがあって、amazonへのリンクが1つしかなくて275クリックだったと考えると、2つあれば1.3~1.5倍程度のクリック数増加は見込めたかもしれません。

だとすると、CVRから考えてプラス7冊は本が売れた可能性があります。でも技評のページに飛んで、そこから本を買った人も居たかもしれません。

途中で再び元に戻さなかったのは、既にnoteが十分すぎるくらいに拡散されていたので、実験の最中に内容を変更してしまうと因果がわからなくなってしまうからです。

話が少し逸れますが、悲しいと感じたのは、外部の有識者に「リンク先を出版社にしても売れない」と断言されたことです。技術評論社だけでなく光文社、毎日新聞出版、MdNから書籍を刊行していますが、だいたいどこも書籍紹介リンクは「うちのページにして欲しい」と言われます。

「それじゃ売れない!」とのことなんで、反論ある編集者の方は声を上げていただければ幸いです。私は編集者さんが自ら売れない行為をするとは信じられません。


②最初の3行で価値が伝わるようにする(Twitterカードの概要文でちゃんと価値が伝わるようにする)。

これはその通りですよね…。

普段からスマホでTwitter見るので、すっかり忘れておりました。PCでTwitter見るとこんな感じなんか!と気付く始末。次回から気をつけます…ってか、今回から気を付けています。

なぜ導入(イントロ)を「本ノートは、深津さんのtweetを目にしたことをキッカケに〜」としたのか。理由は2つです。

①「全文公開note」に追加される基準が不明だったので、単純に「公開しました!」と言うだけだと、編集部の人からスルーされそうで怖かった。出だしに、どういう経緯で全文公開したか書けば追加されると思った。(安易な犯行動機)

そう言えば、noteディレクターの平野さんという方から、私も取材されるのかな?

②というか99%の人は、最初の3行すら見ない。タイトルだけ見て「なんか良いな」と思ったらクリックすると思っています。

最近ですと松尾先生への取材記事がクソほどバズりました。

なぜ日本は人工知能研究で世界に勝てないか 東大・松尾豊さんが語る“根本的な原因”
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1809/18/news011.html

Twitter、Facebook、はてぶ、NewsPicksいずれも1000を超える反響があったのですが、99%の方が内容も読まずにタイトルだけ見て反射神経で「世界に勝てない理由」の自説を熱く語っておられました。私はこれを「タイトル大喜利現象」と名付けております。

でも、中にはちゃんと内容を読んでくれる1%の人がいるんですよね。私はそんな1%の人のために書いていると言っても過言ではない。

要はちゃんと読んでくれる人は3行ちゃんと書こうが書かまいが読んでくれるし、読まない人は何も読まないし。読もうか読まいか迷っている人は、たぶん最初の3行とかタップで飛ばして、3秒ぐらいパパッと"見て"判断してるんじゃなかろうか。

だから、なるべくスマホで読みやすいようオチ→起→承→転→結という大きな流れは守りつつ、「最初の3行で内容しっかり書く」などの読みやすさはサボっておりました。

でも、これからは守ります!もう少しちゃんとやる!すいませんでした!


ろ:すぐに在庫切れして超カッコ悪かった

amazonと言えどもリアル倉庫で在庫の管理をしており、当然ながらスペースをがっつり確保している書籍は「売れ筋」で、たまーにしか売れない書籍はそこまで置き場所が用意されていません。

そして今回のように全文公開したことで急に売れ始めますと「在庫ねーわ」となります。これは単純にカッコ悪かった。

在庫が無い=すぐに手元に届かない。するとどうなるでしょうか。

①近くの書店へ行く、②買うのを諦める、③注文だけして1~2週間後に届くのを待つ。いくつかの行動パターンが考えられます。

ちなみに①の場合、すでに「グラフをつくる前に読む本」は刊行から1年が経過しており、大型書店でも無い限りは見当たりません。すると、②になってしまうのではないでしょうか。これはモッタイナイ。

amazonと言えども、超巨大書店みたいなもんでバーチャルではなくリアルなのだなーと思った瞬間でした。気をつけよう在庫切れ。


は:反響が1日以上続かなかった

もう1度、クリック数、CV数の推移を見て下さい。全文公開した初日に大きくハネて、以降はλ=1のポアソン分布が如く急降下しております。

これは、Twitter、Facebook、はてぶ、NewsPicksで、どれくらい拡散されているかが影響していると思います。それぞれの効き目は、

◎Twitter、はてぶ ⇒ 即効性
◎NewsPicks ⇒ やや即効性
◎Facebook ⇒ 遅効性

こんな感じでしょうか。Twitter、はてぶはシェアされれば速攻でPV数伸びるイメージ。Facebookはその日の夜とか、何なら週末にPV数伸びるイメージ。

今回、Twitterでは凄くシェアして貰いました。ですあ、はてぶ、Facebook、NewsPicksでは思ったより…という感じでしょうか。

このあたりが反響が1日続かなかった要因かと思っています。

全文公開して終わりじゃなくて、そこからが始まりなんですね。多くの人に読まれる努力をしなきゃいけないのに、紙もネットも変わりは無いと感じました。

先日、川内有緒さんが公開された「『空をゆく巨人』全文公開」の中に、「現代ではどうやって本と出会うのでしょう? もしかしたら、ウェブが現代の立ち読みなのかもしれない、紙の上ではなくとも昔のような本との出会いがあるかもしれないと思うようになりました」という素敵な言葉を発見しました。

確かにその通りで、noteでの公開は「本屋に行かなくてもネットで実現する気軽な立ち読み」なんだと思いました。

かつ、書店と違うのは「ソーシャル上での読者の反響を知れる」ところにあります。色んな人が「グラフをつくる前に読む本」を「必読」「買う」と言ってくれて、私は非常に嬉しかったです。

私は今回、そうした声を丁寧に拾いながら、「良かったら棒グラフ編だけに留まらず本の方も買ってみて下さいよ~」と言ってなかったんだなぁ、と痛感しました。

結論:悔しい。再チャレンジしたい

100冊ぐらいは行くかな?と考えていましたが、結果としてその半分。悔しいなぁ~。悔しいです。

そこで、私が最近刊行した書籍の全章無料公開にて再チャレンジします。

版元の毎日新聞出版の編集者さんからはOKを頂いております。現在、どの章を全文公開するのか選定中でございます。

もし、このnoteを読まれている方で、「あ~この章は読みたかったんだよ」という方がおられたら、Twitterで気軽に声掛けて頂ければ幸いです。

以上、お手数ですがよろしくお願いします。

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松本健太郎
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