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拝啓

 残暑の厳しい季節となりました。君はもうとっくに夏休みを終えた頃だろうね。ふふーん、大学生の夏休みは長いのだよ。私はまだ夏休み中だ。

 どうせまた学校じゃあ気を張って頑張っているのだろう?そうだろうね。君は入学当初から「真面目キャラ」で通っていたものね。しかも自分ではそうしているつもりが全くないのに、だろう?その仮面を中々崩せないしんどさは私にも想像ができるよ。僅かだけどね。たまには疲れ切らないように、リラックスしてみるのもいいんじゃないかな?まあ、君のその悩みにも直に攻略法が見つかるさ。

 吹奏楽部に入ったんだって?それはとてもよい選択をしたなあ。君の音痴を治すのには吹奏楽がうってつけだ。腹筋もつくし、音楽鑑賞も楽しくなること間違いなし。まあ、これらは全部私がそうだったからっていう話なのだけどね。せいぜい腹式呼吸を身に付けることだね。それと酸欠にはならないように。

 2学期というと合唱祭か。練習はもう始まっているのかな?何、君も指揮者になったのか。奇遇だね、私もやったことがあるのだよ。しかし、今思えばどうして指揮者をやろうと思ったのか自分でもちょっと謎なんだよ。まあ、自分のクラス皆の美声を聴ける特等席なのだけどね。あの最後のハモリは忘れられないよ。ちなみに君はどうして指揮者に立候補したんだい?今度聞かせておくれよ。

 そういえば、君はハリーポッターシリーズを全部読み終えたのかな?ひいおじいさんにもらったあの分厚い本たちさ。本当に素敵な作品だよなあ。私は最近やっと映画版を見始めたのだが、小学生の頃にドハマりしたのを思い出したよ。私にもホグワーツから入学許可証が来ないか待ちわびたものだ。今でも時々魔法に憧れるくらいだ。ガラス製品を割ってしまったときとか、うっかり寝坊してしまったときとか。ふいっと一振りで直せたらどんなにいいことか。

 そうだ、君に頼みがあるんだ。学校の授業でノートを取っているだろう。それを捨てないで取っておいて欲しい。中学のノートなんて高校ではどうせ使わないとか今後思うこともあるかもしれないけれども、どうか頼むよ。国語だけでもいいからさ。それらはきっと君の役に立つ。私はそれがなくて結構苦労しているのだよ。

 末筆ながら、君の健康と身長が伸びることをお祈りします。どんな言い訳を並べても寝不足はよくない。日中眠くなるだけならいいけど、何より身長が伸びなくなる。それと、スマホには気を付けるんだ。あれはおもしろい代わりに君の視力をちょっとばかりと言って低下させるための代物だ。くれぐれも気を付けるように。それでは、またいつか。

敬具

  令和6年9月6日

21歳の私より

13歳の君へ