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スパルタ塾 「進学塾 H塾」 #04 中学1年生 宿題忘れを誤魔化すと・・・

中学生活にも徐々に慣れ始め、6月頃になると塾生のほぼ全員がクラブに入部し各自学校生活を充実させていた。勉強に部活、そして友達づきあいと、次第に文武両道のバランスを保つことが困難になり始める生徒が多くなる。毎日遅くまで部活で残り、完全下校のチャイムと同時に帰路につくような生活を送っていると、塾で出された宿題を片付けることは言うまでもなく、学校で出された課題に取り掛かるのも億劫になりがちだ。学校では提出物を出さなければその都度内申点に響くが、H塾では直接身体で反省させられる。宿題を忘れた生徒は鞭棒でお尻を3回打たれる。そのため塾生は必ず授業日までに出された宿題を済ませておくのだが、部活で帰りが遅くなり時間が無くて大変だ、という甘えから授業開始前に友達に答えを写させて貰うズル賢い生徒が現れ始める。

「…あっ、ごめん。竹崎、今日の数学の宿題見せてよ。」

「橋野君また忘れたの…? もう。見せても良いけど、川山先生にバレても知らないよ!」

サッカー部の練習で帰りが遅くなり授業開始5分前くらいに教室に急ぐように入って来た橋野くんは着席し筆箱とノートを学校カバンから取り出すとすぐに女子バレー部の竹崎さんに宿題のノートを見せて貰うようお願いした。

「ありがとう! まだ先生来ないし大丈夫だよ。」

橋野くんは余裕を見せて自分のノートに答えを書き写し始める一方で、他の生徒達は着席し小テストの勉強をしながら会話を楽しんでいた。


するとその最中、少し早く川山先生が教室に入って来た。話し声にかき消されドアを引く音が聞こえなかった。教室のドアは教卓の右側にあり教室全体を見渡せる。1番前の教卓の前の席でノートを2冊広げて何かを必死で写している不審な橋野くんを見逃すはずがなかった。

「橋野くん、何をしているの…?」

「(えっ…⁉︎ 先生!) え、、あっ、あの…///」

「ん? …これは? 友達の宿題の答えを丸写ししているのね。」

「あっ、はいっ…、竹崎さんのノートを借りました…。ごめんなさい…。」

答えを写すことに集中していた橋野くんは川山先生が近づいて来たことに気づかず、見つかってしまった時にはノートを隠すどころか言い逃れもできない状態だった。


教室の空気が一気に悪くなり、他の生徒達は会話を止めてしまった。

「橋野くん、宿題をして来なかった理由を言いなさい。」

「あっ、あの、、、クラブで… 時間が無くて…。」

「多学年の生徒にも言っていますが『クラブで時間が無い』と言うのは只の言い訳です! 」

しどろもどろしながら話す橋野くんの稚拙な言い訳に川山先生は声を荒げる。


「橋野くんも、ここにいる他の皆んなも同じですが、中学生活に慣れ始めて『クラブや他の事で時間が無くて宿題ができません』、と言うような言い分は言い訳にしかなりません。クラブをするのなら勉強もそれ相応に両立させない。1年生からそんな状態ではいけません。」

「…それと、宿題を忘れた上にやって来たかのように誤魔化そうとした橋野くんには授業後厳しく指導します。」

「はっ、はい…。」

「…そうね。誤魔化しの罰で6回、宿題忘れの罰で3回の、9回お尻を叩いてあげます。」

「……はい。分かりました…。」

「それと…橋野くんに宿題を見せた竹崎さんも授業後残りなさい。あなたもお尻を3回叩いてあげます。」

「えぇーっ…‼︎ なんで… 先生、私嫌ですよ…!」

「宿題を見せたあなたにも責任があります。2人とも授業後残りなさい。」

「そんなぁ…///」

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