スパルタ塾 「進学塾 H塾」 #05 中学1年生 点数虚偽報告の代償
初めての中間テストが終わり、答案用紙が返却された。H塾では、生徒たちは答案が返って来るたびに塾での授業日に川山先生に直接見せに行き点数を控えてもらう。そして、後日学校より配布される生徒各自の成績表(度数分布表)も川山先生に提出しコピーを取ってもらう。川山先生が独自で行う保護者懇談会で使用する為だ。
中1生たちは7名全員が400点を超えていたが、川山先生は小阪くんの答案用紙上の合計点数と、成績表の合計点数に違いがあることに気づいた。金曜日の英語の授業日に問い正そうと、当日、川山先生は授業開始時間より30分早く来るように小阪くんの家に連絡した。
連絡を入れると母親が電話を取った。ちょうど小阪くんが部活から帰ってきたところだった。
「光輝、塾の川山先生から連絡があって、19時00分頃に来て欲しいだって。聞きたいことがあるみたいよ。」
「…あっ、分かった!すぐ行くよ。(…聞きたいことって何だろう)」
小阪くんはサッカー部で、以前10打の厳しいお尻叩きの罰を受けた橋野くんと同じクラブに所属している。学校カバンに塾の教材を入れ、制服のまま着替える事なくせわしくも塾へ向かった。
「…失礼します。」
H塾の事務所に入ると川山先生が椅子に座っており、目の前の机の上には小阪くんの5教科の答案用紙のコピーと、個人成績表のコピーが並べてあった。
「こんにちは、小阪くん。早くに呼び出してごめんね。荷物を置いてちょっとそこに座ってもらえる?」
「あっ、はい。」
小阪くんは学校カバンを床に置き、川山先生と対面するように座った。
「聞きたいことって言うのは…これね。国語の答案の点数と個人成績表の点数が8点も違うの。」
「えっ…? はっ、はいっ」
「答案用紙の方は「76点」が二重線で消されて「84点」に書き換わっているよね。…でもこれ各設問の小計を足していくと何度やっても「76点」にしかならないの。個人成績表も「76点」になってるし、どう言うことか説明して貰える?」
「…あぁっ、これは、、、先生が多分、、間違えて書いたのかな、、、…」
「『先生が間違えて書いた』ね…。それにしてはこの「84」の筆跡、他の小計の「8」と「4」の筆跡とちょっと違うわよね…?」
「そっ、、、そうかなぁ///」
「この国語の先生って唯一赤ボールペンで採点しておられるよね。赤のボールペンだと点数も後から書き直しがしやすいよね?」
「かっ…、書き直しなんかしてませんよ///」
「分かりました。…それじゃあ、明日学校に電話して私が先生に確認します。」
「えぇっ‼︎ そっ、それは…」
「確認されたら困るようね。…小阪くん正直に話しなさい。」
「…ごめんなさい先生/// …僕、鞭の罰を受けたくなくて、…点数を嘘ついてました………。」
「やっぱり思った通りね。お仕置きが嫌だから私にウソの報告をしたのね…。とても残念だわ。」
「…ぇぇっと…僕まだ先生の鞭を受けたことがなくて、、、怖かったんです/// …先生から10打の罰を受けて、お尻が腫れ上がって… 一週間以上痛いのが続いた、ってクラブの時に橋野から話を聞いて///」
「『鞭が怖い』? …橋野くん、お家でもお母さんに時々お尻を叩かれているのでしょう?」
「…‼︎ どうしてそれを…///」
「入塾説明会の時にご家庭のしつけの話も全部うかがいましたよ? 小学校低学年の頃は膝に乗せられて平手で叩かれていたそうね。」
「あぁっ//////(恥ずかしいよぉっ…)」
「5年生からは門限を破ったり、イタズラをしたりしたら布団叩きでお尻をぶたれていたそうじゃない…。お尻に厳しい教育をしてくれる素晴らしいお母さんね。『塾でもビシバシ指導してやって下さい!』と喜んで仰られていましたよ。」
「………///」
「…話を戻すけど、点数を偽って鞭を逃れようとした罰で12打、お尻を打ってあげます!授業後残るように。」
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