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独断と偏見の、ヤンキー猫との邂逅録。
家の近所で、猫に遭遇した時の話。
家に帰る途中、私が歩いていると、向こうから野良猫がやってきました。
・・・さあ、あなたならこの場合、どのような「選択」をしますか?
①そのままスルー
②かわいいので眺める
③とりあえず写真を撮る
④その他
いかがでしょうか。大体の方は①とか②だと思います。④を選択して、近寄ってなでたりする方もいらっしゃるのかな。私は猫アレルギーなので、躊躇なく猫にさわれる人がうらやましくてたまりません。私ももふもふしたい。
ちなみに、私ならどれを選ぶかというと、④です。そして、「小さく会釈する」という行動を取ります。
猫に会釈?と思われるかもしれません。そりゃあそうです。私だってそう思います。じゃあなぜそんなことをするのか?
「猫がいかついから」です。
私の家の近所にいるのは、図体も態度も大きい、ふてぶてしい野良猫です。
ある日、その野良猫が向こう側からやってきて私とすれ違うと、じっと私のことを見つめてきました。
その時の視線には、なんというか、後輩にお昼のパンを買いに行かせるヤンキー的な雰囲気がただよっていたのです。
この鋭い目つきにロックオンされ、私は謎の緊張感に包まれました。ノーリアクションで背を向ければ飛びつかれそう。かといって過剰に反応すると、それはそれでシャーって威嚇されそう。その判断の難しさと、一歩間違えれば落ちてしまう綱渡りのような緊迫感たるや、パンを買いに走らされる後輩の気持ちそのままです。
(ちなみに、私は後輩をパシリに使うような本物のヤンキーには出会ったことがありません。あくまで想像です。それぐらい怖いってことです。)
そこで私は考えました。無視でもなくテンション高めでもなく、穏便にこの場をやり過ごせる方法は何なのかということを。そこで思いついたのが「ちょっと会釈する」というものでした。作戦は完璧です。あとは実行のみ。
厳しい目つきでこちらを見つめる猫に向かって、「センパイ、お疲れさまっす!」という後輩ポジション的な念を送りながら、ペコッと頭を下げます。ちょっとびくびくしながら向こうに視線を送ると、猫はすんっと前を向いて歩いていきました。
任務完了です。私は無事、帰路につくことができました。
しかし、家に帰ってからふと思いました。
私は、勝手にあの猫をヤンキー認定して、勝手に怖がっているのでは?と。
よく動物の面白動画を扱うテレビ番組で、まるで人間が話しているかのようなアテレコが付けられますよね。あんな感じで、私はあのいかつい野良猫がいかにも言いそうだという台詞を想像して、そういう事を考えながら飛びかかってくるかもしれないと行動まで予測していました。
独断と偏見で、こんなキャラクターだと決めつけて、それに見合った対応をしてしまう。人に対してはそういうことをせず、なるべくまっさらな状態で接しようと心がけているのに、動物に対しては平気で性格や行動を断定している自分に気づきました。
「野良猫、ごめん・・・」と本気で反省しました。たとえ動物であったとしても、先入観を持たずに接するべきだと思ったからです(ずいぶん壮大な話に膨らんだねと言われそうですが)。
ヤンキーじゃない、怖くない、大丈夫、何もしない・・・!
そう思ったのも束の間、次に会ったときにはやはりあの視線に圧倒され、反射的に「お疲れさまっす!」という会釈をしてしまうのでした。
あの野良猫に対して、④以外の「選択」をする日はやってくるのでしょうか。
<ここで一曲>
少しけだるい感じが、あの野良猫が去って行く後ろ姿に妙にマッチします。
書いた人:いたみー
一言:猫アレルギーだと、猫そのものが嫌いだと勘違いされることがありますが、大好きです。ツンデレ具合、しなやかな体、ふわふわした毛、鳴き声・・・どれをとっても最高です。ああ、もふもふしたい。
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