サイボウズに見る新たな組織のあり方に向けた挑戦
「サイボウズは28日、東京都内で定時株主総会を開き、社内公募で自薦した取締役候補17人の選任議案を可決した。社内公募による取締役選任は珍しく、青野慶久社長や新卒などの社員からなる。徹底した情報共有によるフラットな組織運営を標榜しており、企業統治でも一手を打った。
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サイボウズは階層などをなくしたフラットな組織として知られる「ティール組織」のような運営をめざしている。‥」【日本経済新聞 2021年3月29日】
これまでも様々な先進的な経営・人事施策を行って注目を浴びてきたサイボウズ社。取締役を17人、しかも社内公募により新卒社員も含むということで、企業統治、コーポレートガバナンスという観点や株式会社という機能の社会通念からすると常識の範囲を超えた取り組みのようにも見えます。しかし、「ティール組織」のような運営をめざしているというサイボウズ社からみたら、企業統治などといった些細なことよりも、よりダイナミックな組織のあり方の転換を目指しているのかもしれません。
株式会社という組織は、これまでの資本主義経済の発展に不可欠な推進者としての役割を担ってきたといえます。社会のあり方がコロナという強制的な力=外圧で変更を余儀なくされている面もありますが、社会を支える組織のあり方がその社会の内部から変質していくことで、社会そのものが大きな変革の時を迎えているのかもしれません。
中国という、純粋な意味では資本主義という考え方があまり貫徹していない社会、経済が発展しているという状況があり、そして組織のあり方としては日本でもワーカーズコレクティブなどの制度化が進んでいます。サイボウズの今回の変革は、一企業の先進的な取り組みに過ぎないといえばそれまでですが、こうしたことから、社会と組織のあり方が転換点に差し掛かっていることが垣間見えたようにも感じます。
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