Virgil Ablohの後任は誰?Louis Vuitton メンズデザイナー候補リスト
Louis Vuittonメンズ アーティスティック・ディレクターを務めたヴァージル・アブローが亡くなってから4ヶ月が経とうとしている。
Louis Vuittonのマイケル・バークCEOは「後任は急いで探している状況ではない」と昨年話しているが、ビッグメゾンのポジションを誰が担うのか注目されている。
本記事では、様々な媒体で挙がっている候補を比べたいと思う。
ヴァージルコミュニティ
アブローの就任後、メンズのRTWはストリート色が強くなり、ラグジュアリー購買の裾野を広げた。
このモメンタムを引き続き維持するか。
もうしばらく続けるだろう。
アブロー路線を継続する場合、彼のコミュニティや広い意味での友人の中から後任が選ばれる可能性が高いだろう。
Kanye West
天才肌でわがまま。
そんな印象があるYeことカニエ・ウェストは、Louis Vuittonにてヴァージルがはじめて担当したショー後にハグをして話題をよんだ。
Louis Vuittonほどのビッグメゾンではデザインチームも充実している。しかし、カニエとのコミュニケーションがどこまでとれるのか疑問だ。
Bottega Venetaの前デザイナーのダニエル・リーは、深夜に作業することを好んでデザインチームを疲弊させてしまった上、Kering上層部とも関係を悪化させて退任になった。カニエも同様の事態になる可能性が高い。
ベルナール・アルノー(LVMH会長兼CEO)レベルでないとコントロールに苦労するようであればブランドの売上が伸びてもすぐに後任をさがすはめになるだろう。
Yeezyでの経験があるものの、メインである音楽のキャリアと並行してビッグメゾンを率いることは難しい。
Samuel Ross
ロスはアブローのアシスタントとして働いていたこともあり、Louis Vuittonでの後継としても名前が挙がっている。
建築学を学んだアブローと同様に、あるコンセプトを昇華させてデザインに落とし込むことに長けている。
しかし、ロスはLVMHとの関係がまだ薄く、ビッグメゾンを率いるには経験もやや乏しい。
年齢が若く、今後多くのチャンスがありそうだがとりあえずのアブロー後継はないだろう。
Jerry Lorenzo
Fear of God やEssentialsのデザイナーとして有名なJerry Lorenzo。彼もヴァージルの友人として有名でFear of Godも商業的に成功している。Zegnaとのコラボレーション経験もある。
アブローの系譜を引き継ぐならば、様々な文化の要素をブランドに取り込んでいくキュレーター的な動きも求められるが、この点でLorenzoのキャパシティはまだ大きくないだろう。
また、LVMHメゾンとは関係が深くないため上層部としては検討のテーブルに上がることはないだろう。
LVMHお抱えデザイナー
いわゆる「LVMHおかかえデザイナー」は多い。
それぞれのメゾンで活躍するアーティスティック・ディレクター達だ。グループ内からの起用は、デザイナーのキャラクターやキャパシティが既に把握された状態であるため社内でも話が通りやすいだろう。
デザイナー本人のキャリアアップとして基本的な手法になるがLVMHグループ内に適任はいるだろうか。
Jonathan Anderson
Jonathan Andersonは可能性が高い一人だ。
自らのブランドもあり、アーティスティック・ディレクターを務めるロエベも順調。
Loeweのオーナー、LVMHとしてはデザイナーとしてのアンダーソンをさらに成長させたいはず。このロジックはグループ内だけでなく投資家に対しても通しやすいだろう。
マイナス面としては、これまで築いてきたヴァージルの影響が薄れてしまうことくらいだろう。
Kim Jones
Louis Vuittonメンズのアーティスティック・ディレクターを務めた前にも経験あり、現在はDior Homme やFendiのウィメンズも担当している。
経験は申し分ないが、Louis Vuittonの兼任は全盛期のLagerfeld以上の忙しさとなるため現実的ではない。
アジア人デザイナー
人数としてはまだ少ないが、Balenciagaのデザイナーを務めたAlexander Wangなど近年はビッグメゾンでもアジア人デザイナーの姿が見られるようになった。
Louis Vuittonでも起用の可能性がある。
阿部千登勢
阿部がデザイナーを務めるsacaiは評価も安定してきて日本で有数のデザイナーズブランドに育っている。
Jean Paul Gaultierのクチュールでの経験や、2022年秋冬のパリコレクションで登場した「TRINITY FOR CHITOSE ABE of sacai」ではCartierとのコラボなど話題性も高い。
LVMHとのコネクションはやや弱いが、アジア人女性としてメンズのデザインをすることははおもしろい挑戦になるのではないだろうか。
Nigo
Nigoはヴァージルとのコネクションも強く、Louis Vuittonメンズのカプセルコレクションの経験もある。
カルチャー要素の服への落とし込みやキューレーターとしての能力は非常に高い一人だ。
一方、始まったばかりの新生Kenzoでのハンドリングが未知数のため、今回の起用は可能性がやや低いだろう。
Kenzoでのディレクションが成功し、トレンドがNigoを求めている限りはLVMHブランドでのさらなる活躍もあるだろう。
個人的なイチオシ
上記の本命に加えて個人的な”推し”も紹介しておきたい。
Yoon & Verbal
このコンビの起用に関しては賛同してくれる方は少ないかもしれないが、ある程度の要素がそれっていて「あり」じゃないかと考えている。
パートナー2名がデザインをする例としてオープニングセレモニーのキャロル・リムとウンベルト・レオンやJil Sanderのルーシーと ルーク・メイヤーのようなイメージだ。
ディレクターとしてはYoonが全面に立つイメージだ。この場合はsacaiの阿部千登勢と同様にアジア人女性がメンズウェアをデザインする。
AmbushはLVMHプライズのファイナリスト選出後、YoonがDior Hommeのジュエリーデザインも担当しており、LVMHでも機会を得ながら評価を上げていることが伺える。
また、YoonもVerbalも英語でのコミュニケーションが問題なくできる点が他のアジア人デザイナーと差をつける要素になる。
ファッションを研究し、哲学をデザインに昇華させるより、キュレーターとして良くも悪くもうまく人に任せられそうなのがYoonとVerbaのコンビだ。
Louis VuittonではなくOff-whiteでも可能性がある。
最後に
ヴァージルの後任が誰になるかはまだわからないが、プレッシャーがかかるポジションになることは必至だ。
ヴァージルが作り上げたモメンタムを壊すことになるものの、社内力学からはジョナサン・アンダーソンの可能性が高いだろう。
個人的には女性、特にアジア圏のデザイナーの起用に期待したいが発表の際に改めて予想との相違点について記事に出来ればと思う。
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