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【韓ドラのすごさ】「誘拐の日」の“天才子役”ユナに、あっぱれ!

誘拐犯とさらわれた少女との奇妙な関係

韓国ドラマ「誘拐の日」(全12話、2023年☛アマゾン・プライムで配信中)は、今年観た韓国ドラマの中で、(ネットフリックス配信作品を除けば)マイ・ランキング1位のヘビー級作品だった。

https://filmarks.com/dramas/14119/19314

<「誘拐の日」あらすじ>難病の娘のため身代金目的の誘拐を決意した男。ターゲットの天才少女をさらうが、思いがけない事件に巻き込まれ……。

(CS/TBS-1番組案内より)

このミステリードラマの新しさは、誘拐犯とさらわれた少女との間にしだいに信頼関係が生まれていき、辣腕刑事に執拗に追われる逃避行が、まるで父と娘のロードムービーを観ているかのようなヒューマンな世界に変幻していき、家族とはいったい何かを考えさせるところにある。

▲誘拐犯と天才少女の奇妙な逃避行(「誘拐の日」より)
▲二人は加害と被害の関係を越え、父と娘へと変わっていく(「誘拐の日」より)

そして、人のよい誘拐犯と天才ぶりを発揮する少女の主従関係が逆転していき、<頭脳探偵>に変身した少女の知恵と策略で警察の追っ手をくぐり抜け、誘拐と同時に起きた殺人事件の真犯人とその真相をも突き止めていくというストーリーにどんどん引き込まれてゆく。
☛☛☛謎が謎を呼ぶ衝撃のラストシーンは必見!

もちろん、原作(チョン・ヘヨン)があって、骨太の脚本と時にユーモラスなセリフ、<間(ま)>を重視する演出……と、どのレベルも高いせいだが、何と言ってもキャストの演技が光っている。

主演級をそろえた豪華キャスト

▲心やさしい誘拐犯を演じたユン・ゲサン
▲逃避行の二人と“共犯関係”になっていく正義漢の刑事を演じたパク・ソンフン
▲誘拐犯の元妻を演じたキム・シンロク。この個性的な“怪優はソウル大学卒のインテリ

なかでも、誘拐された11歳の天才少女役を演じたユナさん(<少女時代>のユナではない)のむっつりとして大人じみた表情、またあるときは心細くて泣き叫び、わがままを言い、ふっと笑みを浮かべる……それらの多彩な表現にすごみを感じた。
 
これまで長いこと、大河ドラマ「トンイ」(2010年、全60話)の幼少期を演じたキム・ユジョンさんがナンバー1の子役だと思っていたが、これで天才子役のマイ・ランキング表は塗り替えられてしまうかもしれない。

ユナは“天才子役”でなく、すでに演技派俳優

――ユナさんは2011年7月生まれの現在13歳。
 
ドラマ収録時は、役柄と同じ11歳だったはずだ。

▲犯人と遭遇し、脅えた表情は11歳そのものだ(「誘拐の日」より)

それを考えると末恐ろしい気もするが、映画・ドラマに与えられる韓国のゴールデングラブ賞と言われる<百想芸術大賞2024>のテレビ部門で新人演技賞(女性)ユナさんが受賞したと知って、さすがプロはちゃんと評価しているのだ、となんだか嬉しくなってしまった。

▲<百想芸術大賞2024>テレビ部門で新人演技賞(女性)を受賞したユナさん(YouTubeより)

それにしても、韓国の俳優たちの層の厚さ、演技の深さには毎度驚かされる。
 
スポーツ選手が、「死ぬ気で頑張ります」と発言する場面をよく見聞きするけれど、韓国の俳優たちも作品ごとに「全身全霊を傾け、死ぬ気で」演技しているのではないかとつくづく思う。
 
でも、子役はなかなか伸びないと言われる。
が、「トンイ」キム・ユジョンさんは大成し、映画・ドラマで大活躍している。
 
ユナさんには出演オファーが殺到していると思うけれど、これからも演技派俳優として磨きをかけ、たくましく成長していってほしいと思う。
 
そう言えば、ユナさんが生まれた2011年は、日本が東北大震災に見舞われた年、ちょうどわたしの孫と同じ年齢だったことに、いま気づいた。
……蛇足ながら。
 

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