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蒔田完一氏『護身杖道』に意見する9

「日本伝合気柔術免許を渡す時に、私たちにも相談があり、大東流とは関係なしと言うことで、久師範との間で了解がつき渡したもので、」
と書いてあるので、一安心。久先生が亡くなった今日、この伝授の関係は大阪琢磨会の幹部が知っているかどうかも疑問。免許皆伝の事実を否認されると、それを立証するのが、死人に口なしで困難だと思っていた。今回の手紙で証人がいることがわかりほっとしたところだ。蒔田氏の関係から、当然時宗氏にも事情が伝わっている。これで、今後の大東流関係運動に都合がよくなった。
補足説明:武田惣角から久琢磨への皆伝の口伝と皆伝技法の伝授は秘密裏に行なわれました。鶴山先生も同様な方法で皆伝を受けたいと希望し、秘密裏に行なわれたのです。ただ、久琢磨の場合は、久が皆伝者であることを周知させるため、立会人として息子の時宗や高弟の佐川幸義を呼び寄せ、証拠の写真も撮影するという当時としては徹底したやり方をしています。一方、鶴山先生はこのようなことに関心がなかったのか、何もしていません。つまり、証人(立会人)がいないのです。しかも、久から「金箔の免状を作って送りましょうか」との提案にも反応しなかった(先生の遺品にはなかった)ようです。
久琢磨は、皆伝の口伝、すなわち大東流三大技法の真実については公表していません。大東流に箔を付けるために作られた伝承を尊重するとともに、表向きは息子の時宗を立てていました。
『護身杖道』において、鶴山先生が大東流三大技法の秘密を公開しましたが、大東流関係者からは認め難い内容であったことから、反発があったのです。
蒔田氏のこの手紙により久が門人に仁義を切っていたことが判明し、逆に証人としての役割が発生したことに鶴山先生は安堵の気持ちを抱いたのでした。

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