書評「いまさら聞けない 箸の持ち方 レッスン」(上)
大東流の最初の口伝は「朝顔之事」です。鶴山先生は大東流柔術第一ヵ条の教伝が終わると解釈総伝を手交すると供に口伝五ヵ条(実際は書伝)を伝授しました。その一番目の口伝が朝顔なのです。朝顔すなわち手の使い方がどれだけ大切かについて初っ端に教えているのです。入門技法である柔術テクニックとしての朝顔が極意合気之術につながっていくという象徴なのです。
さて、この話題と書評の関係は???ですよね・・・
「いまさら聞けない 箸の持ち方 レッスン」は中原麻衣子著、令和3年10月31日(株)主婦の友社発行のノウハウ本です。箸の持ち方についてはYouTubeやいろいろな本があると思いますが、中原氏のユニークなレッスンが目に止まったことから、紹介する次第です。同書の趣旨は「美しい箸の使い方は人生を豊かに」とありますが、「美しい箸の使い方を知ることは、合気之術の達人に近づける」と私には見えてしまった(笑)のです。
中原氏は、次のように説明しています。
箸は2辺とも動いているトングとは違い、1辺のみ動いているのです。下の箸は動かず、上の箸だけが上下に動くことで、食べ物をはさみます。
(中略)「力は入れず、美しく持ち、正しく動かす」(17頁)
箸を動かすときに大切なのは、力がどこにも入っていないことです。
(中略)箸を動かしているのは中指だけなのです。(42頁)
ここには手の使い方の極意が書かれています。詳解しましょう・・・