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戊辰の年の年賀状9-江戸柳生と鶴山先生-

ただ、ここでも鶴山先生の研究は徹底していて、残された資料は多さには驚きました。

先生の研究をまとめると、尾張柳生の刀法を元に、文献資料に基づく大坪先生からの情報、『新秘抄』など江戸柳生系の伝書を基に、先生独自の視点で差別化して江戸柳生のありようを推測したというものです。技法に関しても、独力で再現を試みた勢法もありました。その結果は、いわゆる砕き(応用変化技・簡易化技法)に相当するものを再現し得ており先生の非凡さを証明しています。

さて、先生の真骨頂は理論体系にあります。独自の視点で江戸柳生を再構成したのです。今までの知見と大東流の構成を参考にしたものと思われます。江戸柳生が内包していた理論を顕在化させたといってもいいでしょう。これは一種の解釈ですから、当然唯一これのみということはなく、いろいろな視点から解釈することは可能です。三学円之太刀が持つ宇宙観など、初めて見たときは驚いたものです。

また、先生は大東流合気柔術と新陰流兵法との技法の関連性についてまとめています。例えば、一般技(1~4か条)では、正面打1か条に通じる構えとして刀棒・逆車など、これに関連する勢法として斬釘截鉄・長短一味・小詰・乱剣など、とまとめています。同様に基礎技(四方投・小手返・回転投・入身投)についても同様にまとめています。

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