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いままでの合気道・これからの合気道1

『図解コーチ合気道』出版準備として綴られた鶴山先生の原稿から、当時の合気道界に対する所感を述べた草稿を紹介します。昭和35年から合気武道を学び研究を始めた鶴山先生は、既に杖道の達人でしたから、武道家としての視点から合気道を見て様々な疑問を感じたのでした。凝り性でもあった先生は、その鋭い分析眼と地道な研究によって、その本質に近づこうとしたのでした。なお、杖道に関して鶴山先生は昭和37年に『護身杖道』を著しており、東京電気通信局内・武道研修会で発行しています。
 
合気道と称していながら、それぞれの道場システムが指定している技は皆それぞれ違っている。素人目には全く異なるものに見えるものまである。生半可の知識では全く判断がつきかねるくらい、その指導法も教本も違い、思想も主張も異なっている。これらのことは「合気道の源流」「合気道に二大潮流がある」の項目で記述してきたが、今までなぜ、その真相が知られていなかったのであろうか?
我々のように真面目に合気武道の宣伝に引かれ、その研究に取り組んできた者たちが受けているこれまでの思索の混乱は非常に大きな時間的ロスであった、と思われるからだ。それは我々電電グループを含めて多くの合気道愛好者が長い間のわだかまりとして、心中秘かな悩みであったし、不可解な問題でもあったのだ。

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