反応速度
柔術系や合気柔術(合気道技法)の技はどんなにゆっくり掛けても成立するところに特徴があります。打突系の技法で、例えば突き(パンチ)を超スローで相手に当ててもなかなか効果は望めないでしょう。
ところが、逆に投技など仕手の勝手で素早く掛けようとしても、スッポ抜けて掛からない、いわゆる独りよがりの状態になることがあります。最初はゆっくり、相手が気持ちよく付いて来ることが出来る速さで動き、段々加速し、一気に投げる、ことが大事です。このことを気を合わすという言い方をしても良いかも知れませんが、抽象的な表現に持って行かず、接触点から相手の反応を感じとる、一体化感が維持出来ているかどうかを察知する稽古がお勧めです。
一般に、ヒトが刺激を受け筋肉に命令が伝わり反応が起こるのは0.1秒未満では不可能とされています。例えば、陸上競技のスタートではピストルの音から0.1秒以内に反応するとフライングとなります。日本陸上競技連盟競技規則/第 3 部トラック競技 第162条スタート 項番6に「不正スタート(即ち、反応時間が0.100秒未満の場合をいう)の可能性がある」とあり、0.1秒以内にスタートを切った選手はピストルの音を聞く前に、スタートしたとされます。
これほど厳密ではありませんが、相手と一体化した後は、その一体感を解かないためにスロー・スタートが大事なのです。自動車でカーブを曲がるときの運転の基本してよく使われる言葉「スロー・イン・ファースト・アウト」とよく似ていますね。