大東流柔術講習会4
地の位である大東流柔術は、青年将校向けの厳しい基礎鍛錬法が1~2か条30本にとりまとめられている。3か条以降は柔術系の合気柔術と呼ばれるものであって、応用技法になる。
人の位である大東流合気柔術は、大東流柔術に属する「柔術系の合気柔術」とは異なり(別系統)、江戸柳生系合気柔術と呼ばれるものであって、これの初伝の一部が合気道の原典である。基本理念は肉体が老化してくる中高年武士(いわば中間管理職)を対象とした技法で、中伝以降にはヨガ技法が導入されており、中高年武士の回春(若返り)養生技法が中心になっている。
天の位である大東流合気之術は、上級武士である家老職以上の人を対象とした技法である。この武法の法形は孫子の兵法等の教訓が要約されたところに特徴がある。
これら大東流三大技法は、その全容を知る者がいないため、それぞれ独立して指導されているが、天人地の三大体系は、三位一体(キリスト教の三位一体とは異なる概念)となるもので、この三段階をマスターすることがクンダリニーの三密占観の秘法を会得することになる。
大東流は、編成当時、会津藩を中心とした知識人の叡智を結集したもので技法に思想的背景を付加し一つの世界を構成するという壮大なものでした。残念なことに鶴山先生からは詳しい説明は受けられませんでしたが、メモには残っています。ただし、その理解のためには相当程度の宗教学的知見を要することから、近づき難いものなのです。躰動に呼吸法と瞑想法を合わせエネルギーをコントロールしていく鍛錬ですが、適切な指導者がいなければマスターすることは困難です。