見出し画像

お陰で受けた朝日の光-合気道6

(承前)私どもが植芝先生一門に就いてこの合気道を習練している最中、昭和11(1936)年6月21日、本社受付に右手に鉄杖をジャンジャンと突き左手には銘刀を携え「我こそは、大東流合気柔術総務長武田惣角源正義なり、諸君は門人植芝盛平に習っているようだが、彼はまだまだ未熟だ、真の合気柔術を習わんと志すなら、よろしく只今より俺の門人となり習え」と一喝、有無を言わさず守衛達を引き連れ道場に入った。私は部長であることを秘して守衛諸君について道場に忍び込み武田先生の秘技を実見した。私はすぐに植芝先生のもとへ駆けつけ武田先生の出現を告げた。植芝先生はすぐに恩師の元に駆けつけると思ったが意外にも非常に驚愕して引っ込んでしまった。かくして私たちは朝日従来の如く梅田の道場で植芝先生一門の指導を受け、午後は武田先生を本社の守衛室道場に迎えて修練するという状況であった。植芝先生一門はその内に朝日に何らあいさつもせず東京に引き上げてしまったが、武田先生はますます熱心になり、その内息子時宗を伴って指導に来られた。
記録によると、
第1回 昭和11年6月21日~7月25日 金360円
第2回 昭和11年11月1日~11月30日 金300円
第3回 昭和12年9月17日~9月30日 金440円
第4回 昭和12年10月22日~11月14日 金120円
第5回 昭和14年3月吉日 免許皆伝
私は、両先生の門外不出の奥義を後世に伝えるべく写真を撮り整理し、初伝・中伝・奥伝・秘伝と分類し、さらに全体を通じて編集し新しく第1巻から第9巻までに分け「大東流合氣柔術總傳九巻」とし、別に警察官の捕技に適した技を選んで「捕技秘傳」、女性の護身術としての技を「女子武道」と、合わせて11巻にまとめ出版した。(続)
補足説明:既述のとおり、総伝11巻は第1~6巻までが植芝盛平に習った技、第7~9巻が惣角直伝の技です。惣角からは120回弱の講習を受けていますが、総伝に掲載された技が少ない。その理由は、①当初植芝盛平の技法を記録しようとしたこと、②惣角の技法は、中伝・奥伝・秘伝等であり非公開の技が多くあったこと、③写真(静止撮影)に適さない技法も多かったこと、からこのような構成になったものと考えられます。

いいなと思ったら応援しよう!