大東流の口伝15
ヒトは、例えば、真っ直ぐに押してくるなど一つの方向と認識できる力に対しては対応(対抗)できます。この第1方向の力がかかったままで、更に斜め方向に押されても(第2方向の力)何とか耐えます。しかし、第1方向と第2方向の力が同時にかかったままで、更に下方向の力(第3方向の力)が来ると、わかっていても対応できないのです。
一般的に、打突系の武術では突きや蹴りなど第1の力を鍛錬し、スピード・タイミング・フェイントなど駆使して一撃必殺を目指します。しかしながら、第1方向の力ですから、鍛えれば受けきれる。それならと、体重を増やし、筋肉を増大させても、相手も同じ事をやりますから、いずれヒトのスペック(仕様)の限界を超えて、体に負担が掛かります(体重が重すぎる力士にケガや病気が多いことを見ればわかりますね。)。第2の力も同様です。
そこで、これらの路線とは異なる「相手の頭を混乱させる」作戦を用いるのです。
これと朝顔がどう結びつくのか???
ところで、朝顔の原典はどこにあるのでしょう? 筆者は新陰流兵法の執刀法(「しない」の握り方=手の裡(うち))にあると思っています。
新陰流兵法太刀伝(渡辺忠敏編集・渡辺忠成増訂)によれば・・・
「小指、無名指、中指の三本にて強く握り締め、大指食指は軽く添え握る。(中略)両手のたつの口(太刀の口)、食指と大指の中央、我が人中路に当てて握る。」(同書5頁)とあります。
要は、3本指で鷲掴みに握り親指と人差指を軽く添え、たつの口(合谷)を正中線上に合わせるということです。これだけでは、ピンと来ませんね?
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