合気術-早島正雄の場合7
(補足説明-承前)既述のとおり、早島氏は自身の武法を「合気術」と称していますが、その技法は大東流合気柔術(柔術系合気柔術)そのものです。同氏による『導引術入門-中国健康法の秘密(昭和55年発行)』によれば…「私の健康術には、武術の流れを汲む合気術を用いている(序にかえて)」と記され、合気術は武術ではないと読めますが、「合気と導引」の項では、合気と導引の関係を武医一如と表現しています。この項では、合気とは、動物の動きを真似てその攻撃をかわし、倒す術(同書31頁)と定義しており、動功と武術を合体させた独自の解釈をされています。
また、「私は、合気術は武術一辺倒のものではなく、人間の生き方を教える哲学でもあると思っている。(中略)合気術のもつ人生哲学としての指針は“自然体であって、生きるか死ぬか、そこには前もって定められたものは何もない。死ぬもよし、生きるもよし。生も死も一つの道である”ということだとかんがえている。」(同書33頁)とあり、道家の自然観に立脚した考え方を合気術に当てはめたものに見えます。そして、「導引術の裏技ともいえる合気術には“こいつを投げてやろう”という対立の気持ちはまったくない。相手が突いてきたら、それをはずせばよい。足を出したら、こちらは引く、何も手や足を出してまで争う必要はない。これが道家の思想である。」(同書34頁)とあり、対立構造に入らない姿勢を表明していますが、ここまでなら確かに武術の必要はないわけで、健康術と称する理由も首肯できるところです。(完)
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