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極意秘伝のはなし10

現在におけるスポーツ柔道としての修練には、日常から2、3の技の習練に専念して、これを自分の得意技と心得、競技に備えている。したがって、競技ともなると、自己の得意技のベースにいかにして誘い込むか、との事のみを期待し時機の来るのを伺っている状態である。このような術技の駆け引きは名人や達人ともなれば、当然必要なことでもあると思うが、現代においては、武道を習い始めの人が術技の達人と同じ習練に入ろうか?

束脩(そくしゅう、初めて師に見える時の礼物(入門料)の意)が「即修」その日にすぐ修得する、いわゆるインスタント式習練に変化したものではなかろうか?

我々が民族医学として伝承してきた「ほねつぎ」東洋医学も新時代の変遷に遭遇しつつあるのではなかろうか?

私は、1965年ニューヨークで開催された世界博覧会において日本館後援のもと、大日本武徳会を代表して演技に参加しました。3ヶ月滞在中の寸暇をさいて、米人経営のサムライ道場を視察して回ったとき、道場の規定書に
 1 即日修得組
 2 7日修得組
 3 ブラックベルト(黒帯)修得組 というのがあった。
この道場のサムライの名称は、日本武道を総称しての意味だそうである。日本武道熱が海外で盛んなことは誠にうれしいが、日本武道の安売りは一抹の不安がわいてくる。

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