目付
目付(めつけ)とは、相手のどこを見るべきか、という教えです。
敵に的確に対応するためには、敵の動きを見極めなければなりません。
ここで、「見極めなければ」としたのは、外見的な動きだけでなく心の動きまで察知せよ、とされているからです。
ヒトが意識的に処理できる情報量には限りがありますから、注意を向ける対象を選ぶ必要があります。
一つのことに注意を向けると→他のことが、見えない・聞こえない・気づかないことになりがちですし、
複数のことに注意を向けると→全体が散漫になってしまう。
そこで、目付の教えが必要になります。例えば、新陰流兵法では「目付二星之事」(めつけ、にせいのこと=敵の目を見ること)など多くの教えが残されています。目付については、諸流派にはそれぞれの教えがあることでしょう。
さて、体術の形稽古を題材に少し具体的なお話をすると、
まず、敵の攻撃を避けなければなりません。間合いに入られたら当たってしまいますから、敵の動きの起こりを見る=目付です。
お勧めの場所は、敵の後ろ足、その足の付け根から腰辺りです。敵は踏み込まないと届きませんから、これらが動いた瞬間に入身・転身をするのです。また、手・太刀先など一番動きが速い部分を見てはいけません(まず、見えないとしたものです。)出来るだけ動きが少ない部分=体幹に近いところ、腕の付け根、肩口や太刀を持っている手元に目付するのです。
筆者のお勧めの場所を書きましたが、熟達者はこれにこだわる必要はありません、心で応じ敵の動きを察知できるなら申し分なしです。
なお、目付の後の入身・転身も形のように動くことによって、頭の情報処理の省力化を助け、その後の変化に対応し易くなるのです。
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