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大東流の口伝30

旋手之事
旋手之事とは、「手(前腕)を回すことで、相手を崩すことができる。」という教えです。
旋手之事に関連する口伝に続飯付(そくいづけ)、糸巻之事・樽形之事などがあり、抜手・掴手とひじの使い方の一部も旋手の中で整理されます。
この手を回す動作も本能的なものの一つで、どうやって腕を回しているかなど、普通のヒトは意識していません。旋手には、内旋(回内=掌が下向きになる)と外旋(回外=掌が上向きになる)がありますが、回転軸を意識しないと旋手による力を発揮できません、使い方を知らないと宝の持ち腐れになるということです。
 
野中乃幕之事
野中乃幕とは、「野原の中、戦陣などで休息や滞在のために張りめぐらすもの」という字義で、表向きは教訓としての口伝となっていますが、裏は実技の口伝なのです。
幕を張るためには、地面と支柱やロープなどで固定しますから、これらを敵の手と見立てるのです。すなわち、敵は片手又は両手を、我を攻撃するために使っている状態、一方我は両手が自在に使える状態、これを有効活用しなさい、又は、我からすると、このような状況を作り出してはいけない、という教えです。具体例では、胸取り技法などがあります。敵としては我の胸襟を取って掴まえたけれど、その手は離せなくなり、逆に不自由になる、ということです。
裏とは、いずれも口伝「積極的受身之事」と「鷹爪之事」を活用する技のことです。

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