大東流の口伝8
冒頭、巴卍・六法千鳥はそれぞれ足捌きと腰捌きの口伝であると説明しました。ここに外見上同じように見える動きを別々の口伝とした意味があるのです。足捌きの口伝とは足の向き(巴か卍か)が重要なのでなく、接地法に秘密があります。この接地法を行うだけで相手は崩れてしまうのです。一方、腰捌きとは股関節回りの力の使い方のことです。体を支える最大の関節ですから、強力なパワーがあるのです、この力を制圧動作等に用いるための口伝なのです。俗に、「六法を踏む」と言いますが、大東流的には「卍脚に踏み、六法を効かせる」という表現が正しいのです。なお、これら捌きの中では、へその向きが重要になります、相手に対し正対するためには足腰をどのように動かすのか、それとも止めておくのか、が重要です。腰は必要以上に切れてしまいがちです、これをコントロールするには六法千鳥の技術が必要になります。
さて、連載4では、「相手の頭を混乱させるという統一理論のこと・・・追って説明します。」ともったいぶっていましたが、巴卍之事とは相手を「不安定にさせる」方法についての口伝、というのが奥の術理(統一理論)なのです。すなわち避ける動作の口伝であるとともに崩す動作の口伝でもある、ということです。