秘伝・合気道 堀川幸道口述 鶴山晃瑞編 12
2合気道の概念
“合気”とは“気合”の一種であるのか?
“気合と合気”とはどのような違いがあるのだろうか?
初めて“合気” “気合”の言葉を耳にされた方の中には、このような疑問を持たれることと思います。
明治以降、合気柔術の技法が歴史的に展開された俯瞰図は電電合気杖道会武道研究グループの編著「図解コーチ合気道」に詳しいので、本書と併せてお読みになると、合気柔術の認識が一層増すことと存じます。
私が幸道会の会長として現在北海道各地で指導しております合気術は○頁以降の写真等でご紹介しておりますが、これは大東流技法の一部に過ぎません。大東流合気柔術は柔術と称する気合練法と合気と称する合気鍛練法が相互に一体となった、分離不可分の関連性を持った技法であります。これらは、文章上で理解するものではなく、実技伝承を通じて身体で覚えなければ理解できないものであります。本書では、合気柔術のうち合気術に該当する技法のみを合気道技法として公開しております。
解説 「○頁以降の写真等」既述のとおり、この部分の原稿や写真は筆者の手元にはありません。
ここでは、鶴山先生の合気柔術の説明を紹介します。
合気とは、相手の力を利用することである。つまり、相手の気力と自分の気を合わせること、具体的には相手の気力を利活用することである。気合は合気の逆説的なもので、自己の持つ最高のエネルギーを流すことである。これを大東流では気合練法という。気合練法は発声することで気合効果が上がるが、合気は借力なので無声となる。また、気合は鍛錬によってその破壊力を増大させることができるが、合気にはない。合気は気合の逆であるばかりでなく、相手の気合をよく知ることで、気合に勝つことができる技である。武術的に言えば気合は殺傷用のパワーであって、合気はこれを止める外すもので、その目的が逆なのである。
大東流でいう合気柔術はその両面を持っていて、合気と柔術(気合)の長所をとり入れたものと考えてよい。合気柔術が大東流独自の専用用語(江戸時代には4,000余りの武芸流派があったが、合気柔術の名称を用いたものはない。)であることみても、柔術諸流派の技法と比較して高度な技であることがわかる。
合気を知るには気合を知らなくてはならない。気合に勝つためには気合が出来なければならない。頭で覚えるのではなく体験することである。
柔術系合気柔術は合気3:気合7、
合気柔術(合気道技法の原形)は合気7:気合3 となっている。